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授業なんて耳に入らないまま午前中が終わり、午後も終わり、もう放課後。
クラスメイトは話ながら教室を出ていく中、いつもよりゆっくりと鞄に荷物を入れながら横目に永瀬くんを見る。
永瀬くんは鞄を持ったままクラスメイトと話していたと思うとそのクラスメイトも教室を出ていき、それでも彼は彼の席に留まっている。
数人駄弁っていたクラスメイトも一人二人と減って教室には二人きりだ。
「永瀬くん、ごめんね残ってもらっちゃって」
「おん」
私が話しかけると永瀬くんは目線は上げないものの、いじっていた携帯の電源を切りポケットに突っ込む。
こちらを見なくても確かに気配は私に向いていて、それだけで今はいいと思った。
私の声が永瀬くんに届くなら、それだけで。
「永瀬くん、好きです」
「……は」
あ、こちらを見た。
ほとんど息のような小さい声。
色素の薄い瞳がしっかりと私を見据える。
じんわり胸の辺りがあったかくなる。
熱い自分の頬に反して冷たい空気を吸う。
「永瀬くんには好きな人がいる上に一度手紙を断られたのにしつこくてごめんなさい。
それでも、どうしても直接伝えたくて。
永瀬くんのことがずっと好きでした」
言い終えて、黙ったままの永瀬くんに精一杯笑った。
泣きそうだ。
フラれたことへの悲しさも、初めてだらけの恋が終わる寂しさもあるけど、でも伝えられた満足感も負けないくらい大きい。
「……それだけ！ありがとう」
こぼれそうな涙を誤魔化して、手に持ったラブレターを永瀬くんの机に置いた。
そのまま振り返り、鞄を手に取ろうと歩き出す。
「……待ってや」
くん、と腕が引かれ、足が止まった。
心臓がドッと大きく音を立てる。
ゆっくりと振り返ると、見たことのない永瀬くんがいた。
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あー(プロフ) - 本当に面白い作品でした！幸せをありがとうございます！ (2020年5月11日 16時) (
レス) id: 027e812693 (このIDを非表示/違反報告)
kaede0318(プロフ) - とっても面白かったです！あと、借り物競走の時の紫耀くんのお題ってなんだったんでしょうか？？ (2020年4月22日 8時) (レス) id: 71eb8c3baa (このIDを非表示/違反報告)
キンプリ大好きちゃんのみー(プロフ) - sideとか誰が言ってるのか書いてあると読みやすいです(*^^*) (2020年3月19日 11時) (レス) id: f3c8e2ad49 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：頼 | 作成日時：2019年10月21日 20時
