その1 ページ1
やめてよ。
なんで、なんで、僕がこんな思いしなくちゃいけないの…？
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｢…ふ？……まふ？｣
｢そらるさん…？｣
どうやら僕はうなされていたらしい。
｢まふ、大丈夫か？｣
｢だ、大丈夫…です｣
｢そっか｣
時計の針は午前2時すぎを指していた。
この夢を見始めたのはいつ頃だっけ。そんなことも忘れるくらい長い間、同じ夢を見続けている。
｢…夜中にすみません、おやすみなさい｣
｢ん、おやすみ｣
そらるさんが再び眠りにつくまでの時間はそう長くなかった。すぐに寝息が聞こえはじめる。
僕がずっと見ている悪夢は、そらるさんと僕が永遠に離れてしまうような内容で。とても悲惨な別れ方で。
実際にこんなことが起こったら…なんて考えると正気ではいられない。
おっと、時間がもうこんなにたっている。僕も寝よう、そして目を閉じた ✂️
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目が覚めると真っ暗だった。
身体が動かない。声も出せない。
…しばらくすると視界が明るくなった。
｢お母さん！このお人形あの子と一緒に遊んできてもいい？｣
｢いいけど、気をつけてね｣
会話を聞くに、僕は人形になってしまっているようだ。
そして、小さい子供の声は僕らしい。あぁ、これはきっと夢だ。目が覚めたわけではなかった。夢の中で『夢』と認識できるのは珍しい。目が覚めるまで過去の自分を見ていよう。
僕がいろいろ考えている間にも夢はどんどん進んでいく
｢―――くん一緒にあそぼ！！｣
｢…いーよ｣
｢じゃあ、お人形遊びしよ？｣
｢えー…おれ男だからそんな女みたいな遊びしたくない｣
そういって相手の男の子は人形を過去の自分から奪い取り道路の方へ投げ捨てた。
｢やめてよ！！大事なお人形なの！！｣
過去の自分は人形を取りにあわてて道路に飛び出した。
バンッ
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次に目が覚めたのは病院だった。
からだから伸びる無数のチューブ。白い天井。
視点が人形から自分になっていた。
｢…あ、あ、｣
声を上手く発することが出来ない
横にはあの時の男の子がいた。ずっと横にいたのだろうか
今はベッドに倒れかかるようにして寝てしまっている。
そこで夢はプツンと切れた
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作者名：ゆづ | 作成日時：2018年1月17日 23時
