[ハイキュー!!] 白いはねのからすのコ。

＊ 17 笑顔 *月島蛍* ページ19

...なに、あの顔。


菅原さんに頭を撫でられ、Aは嬉しそうな顔をした。


僕が撫でてもそんな顔しないデショ。
まあ、僕の場合、つい照れ隠しでボールのように頭を掴むだけだけど。


菅原さんは、優しい3年生だ。
その爽やかな笑顔は、たまに羨ましくなる。

...僕もあんな風に優しくできれば。

素直じゃない自分の性格を恨む。

...そしたら、僕にもあんな顔を見せてくれるだろうか。


____＿_

..久々に入るこの家。

昔はよく来ていたが、最近は全然だ。

月島 「ねえ、今日橙也さんいないの？」

A 「あぁ、とーくんは彼女ん家に行ってくるって。」

月島 「彼女っ？...いたんだ。」

A 「ほんとに！私もこの間聞いてさ、びっくりダヨ！！」

橙也さんはAの兄。
ちょっとシスコン気味だが、まあ良い人だ。


影山 「..おーい！A！ 昼飯食べたか？」


せっかくAと話してたのに..
影山に取られた。


A 「..まだ食べてない..！って、え！？...冷蔵庫に何もない...」

...え、嘘デショ...




_＿＿じゃんけんぽん！！

買い出し班と待機班に分かれるため、じゃんけん大会が開催された。

田中 「うおーっしゃあああ！！ビバ！待機班っ！！！」

..田中先輩、うるさい。


結果、僕、A、菅原さん、日向が買い出し班となった。


....この雨の中、買い出しって。

運悪すぎデショ、、

でも...ちらりと隣を見る。

Aと一緒..



__店__

チリンチリンッ....

店のドアを開ける。

日向 「うおぉー！お菓子お菓子ーっ！！」

すごい速さで店を飛び回る日向。

菅原 「こら日向ー！走ったら危ないぞーっ！」

その後を追う菅原さん。


...ほんと、単細胞は。

A 「ふふっ、ほんと単細胞。」

そう言って、カゴを手に取るA。

月島 「...持つ。」

僕はAからカゴを受け取り、買い物リストを見た。


A 「...ありがとっ。」

その声に振り向くと、Aは照れたように笑った。


..どきり。


さっき菅原さんに見せた嬉しそうな笑顔とは、また別の笑顔。

しかし、紛れもなく僕に向けられた笑顔だ。


月島 「...これくらい、当たり前デショ。」


僕は、恥ずかしさを隠すようにクルっと背を向けて歩きはじめる。




その後ろを、てくてくとついて来るAは可愛くて仕方なかった。

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