[ハイキュー!!] 白いはねのからすのコ。

＊ 11 自覚 *月島蛍* ページ13

「 ...なんで気がつかないの。」


まだ熱い顔に手をあて、小さな声でつぶやいた。


目を閉じると、
さっきのAの言葉が蘇ってくる。



『...蛍、好きなコ....いる...の..？』

少し上目遣い気味にこちらを見つめる顔。



....ほんとにあのコは...


また温度が上がる頬。


「...少しはこっちの身にもなってほしいよ。」




_________

Aとは小学校からの幼なじみ。
ずっと一緒にいたけど、僕がこの気持ちに気づき始めたのは中学3年生のとき。


Aは僕と同じく、小学校からバレーをしていた。
昔から小さな身体で、バレーをするには不利だった。だから、リベロという道に進んだ。


しかし、その小さな身体を補うために
毎日毎日、キツい練習をこなしながらも、朝練、昼練、夜は家で練習。


黙々と、誰も見ていないところでAは努力を積み重ねていたのを僕は知っている。


...そして、あの中3の最後の大会。


Aの活躍は、本当にすごかった。
強烈なスパイクが全く落ちない。
優勝校相手にチームは互角の戦いをみせた。

結局、チームは負けたが、Aはベストリベロ賞に選ばれた。



月島 「...おつかれ。」

A 「！...蛍！来てたんだ.!..忠もきてるの？」

月島 「うん、山口なら自販機行ったよ。」

A 「そっか、後でお礼いわない...とっ！..(ブワッ」


！！？

突然、Aの目から涙が溢れ出した。


A 「蛍ー！！..まけっ..ぢゃっ...だよお..
っゔわーんっ！！！」


小学校からの幼なじみの僕が、Aが泣いたのを見たのはこれが初めてだった。


わんわんと泣くAを、あやすように頭をぽんぽんとたたく。


...僕は知っているよ。君が一生懸命努力したこと。小さな身体で人一倍頑張ったこと。
そして、チームメイトのいるところではその涙を我慢していたこと。


月島 「...頑張ったね。」

そういうと、Aはぽかんと僕を見上げた。


.....どきっ



うるんだ瞳、真っ赤な頬と唇、下がった眉、表情...

全てに釘付けになった。


...どきどきどきっ

鼓動が速くなる。




山口 「...ごめん、ツッキー！！！遅くなって...てあれ？どうしたの？ツッキー、顔真っ赤だよ？」


山口の声がして、はっと我に返った。


月島 「...うるさいよ。山口。」


...危なかった、色々と。


しかし、鼓動は収まらない。




...あぁ、今自覚した。






僕は



羽白Aのことが




好きだ

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