拒絶 ページ18
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乗り込んだタクシー。
運転手のおじさんは一瞬ギョッとした顔をしたが、さすがはプロだ。
すぐに表情を戻し伝えた目的地に車を走らせ始めた。
乱れた髪も、色のない表情もそのまま窓の外だけを見つめる。
先程から鞄の中で震える携帯。
誰からかは分からない。でもその長さから着信だということは分かる。
手帳型のスマホを開くことなく電源を落とす。
(…今は誰とも話したくない。)
ーー
ー
「はぁ。」
見慣れた玄関、嗅ぎ慣れた匂い。
家についた瞬間、ようやく張り巡らせていた緊張を解く。
ゆっくりと洗面所まで歩く。足取りはいつにもなく重い。
『…そりゃ、みんな驚くよね。』
鏡に写った自分に思わず納得する。
乱れた髪に赤く腫れた頬。
(…明日マスクしたらバレないかなぁ、)
手洗いうがいを済ませ、冷凍庫から取り出した保冷剤にタオルを巻いて頬に当てる。
一瞬顔がゆがむが、気にしてられない。
ソファに横たわれば、目の前にあるテレビの液晶画面に自分の顔が移る。
そこには心底疲れた抜け殻みたいな自分がいた。
(ちょっと眠ろう。)
いまだに出ない涙に気づかないふりして静かに目を閉じた。
ーー
ー
夢を見ていた気がする…
目を覚ましたとき、少しだけオレンジに染まる空に時間の経過を感じた。
―ピンポーン
(夢じゃなかった。)
夢だと思っていたチャイムは現実だったらしい。
だるさそのままにインターフォンの画面を見ると画面の向こうには肩で息をする人。
「…何しに来たの？」
『A？良かった、』
心底安心したような顔をする人。
「…良かった？」
前もこんな事あったなと冷静に思ってしまう。
でもあの時と違うのは…
「…帰って」
『っ、A聞いてほしいことが、「…ねぇ、辰哉。私その話聞いたら泣ける？」…え？』
涙も怒りも出てこない私は壊れちゃったのかもしれない。
「…痛む頬は治る？潰れそうな胸の苦しみは治る？
…お姫様を抱きしめるあなたの姿を忘れられる？」
淡々と出てくる言葉に返答はない。
『A、』
「…これ以上、惨めにさせないで」
それだけ言ってドアフォンの通話を切った。
置いたままの保冷剤はいつの間にかソファに黒いシミと水溜りを作り、温くなっていた。
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miku m(プロフ) - ヒロインちゃんとふっかの優しさが伝わります。 (4月2日 21時) (
レス) @page47 id: 5131735793 (このIDを非表示/違反報告)
miku m(プロフ) - 番外編でその後の二人が読めて嬉しいです。めめ君やヒロインちゃんに詰め寄ったメンバーの事など、番外編でまた読めますか？読みたいです🎵らえたら嬉しいです。 (3月31日 20時) (レス) @page45 id: 5131735793 (このIDを非表示/違反報告)
ガリリョ(プロフ) - 完結おめでとうございます。とても切ないお話でキュッとなりました🥹でも最後はヒロインちゃんとふっかさん幸せになって嬉しかったです。番外編に期待してます。 (3月30日 13時) (レス) id: c4caf972cd (このIDを非表示/違反報告)
ちゃそ(プロフ) - 完結おめでとうございます！！紅一点の動きが胸糞悪かったですが何とも言えない感情になりました…なにわともあれ紫さんとヒロインさんが幸せになれたのが嬉しすぎます…是非とも番外編や黒さんとのお話をもっと見たいと思います🥹 (3月28日 22時) (レス) id: 6e3eba5504 (このIDを非表示/違反報告)
愛結(プロフ) - 完結おめでとうございます!読みながら涙が止まらないくらい素晴らしいお話でした!出来れば番外編やおまけを読めると嬉しいです(*^^*) (3月28日 21時) (レス) @page44 id: c55ea2eb9c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：お豆腐屋さん | 作成日時：2024年3月15日 20時
