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冷たいおしぼりで汗を拭い、キンキンに冷えた麦茶で喉を潤しチャージ完了。
おついち完全復活でございます。
「顔色ちょっと良くなったみたいですね。…良かった。軽い熱中症だったんでしょうか。」
「あー…ちょっと寝不足で。」
朝方までゲームしてましたなんて言えやしないけども。
「はは、情けない所を有難うございました。」
「いえいえ。丁度買い出しに行こうと思って外に出たら、具合悪そうにしていたのが見えて…」
心配しちゃいました、と柔らかに笑うこの女性はAさんと言うらしい。弟者と同じくらいかそれより上くらいの年齢かな…？
初対面の女性に年齢を聞くなんて野暮な事はしないけども。
この喫茶店はAさんのお爺さんが経営していて、今も奥の厨房で料理の仕込みをやっているそうだ。
Aさんは接客担当でたまにデザート用のパンケーキを焼いたり、お茶や珈琲の淹れる練習もしているらしい。
これが麦茶を飲み干すまでに聞けたAさんの情報だった。
グラスの中で溶けた氷がカランと音を立てる。
この心地いい空間から蒸し暑い外界へ戻らねばならないのは億劫だったが長居してはAさんにも迷惑だろう。
意を決して重い腰を上げる。
「…本当に助かりました。えっとー、あの、麦茶代はおいくらでしょうか？」
「え、お代なんてそんないいですよ…！」
そういう訳にはと財布を出そうとするが、あの華奢な優しい手にやんわりと押し戻されてしまった。
「…代わりにまた来てくださると嬉しいです。…なんて。」
「もちろん喜んで！絶対にパンケーキ食べに来ますから！」
お待ちしてます、とお辞儀するAさんを背にドアを潜る。
むわっとした熱気に出迎えられ、その温度差に思わず顔を顰めてしまった。
「あ゛ー…相変わらずあっちぃなー…」
ジャズが流れる静かな店内では気づかなかったが蝉の鳴き声がする。近くに大きな木とかがあるんだろうか。
そういえば自宅周辺にこんな喫茶店があるなんて知らなかった。見知っている場所なのに知らない事だらけだ。
ふと振り返り看板を見上げる。
「喫茶 WITH、かぁ―――。今度はお客さんとして来よう。」
優しい店員さんの居る喫茶店。
体調不良に見舞われた事は災難だったが、良い店に出会えたのだからこの際良しとする。
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have a nice day(おつ)
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作者名：なまくら | 作成日時：2018年8月15日 22時
