くるしいよ（弟） ページ21
(！)恋人設定／ｲﾁｬｲﾁｬしてるだけの話
＊ ＊ ＊
ライブ配信が終わるまで弟者の部屋で漫画でも読んで暇つぶしをしようと思っていたのだが、これが案外面白くて夢中になってしまった。
それがいけなかったのだ。
数ある漫画の中から選んだのは弟者が最近ハマっているとおススメしてくれたアメコミみたいなヒーロー漫画で、熱い展開に頁をめくる手が止まらない。
いつの間にか配信を終えた弟者が部屋にやって来たのにも関わらず私はベッドの上で仰向けになり読書に夢中で、挙句の果てには生返事。
見下ろしてくる弟者の不穏な笑顔に気づいた時にはもうどうしようもなかった。
「あっ……！まだ読み途中…ッ」
無残にも漫画が放り投げられ視界から消えたと思いきや、今度は圧力と共に身体がベッドにゆっくりと沈んでいく。耳元でスプリングがギシギシと軋む音を立てる。
「ひぇっ…！？ご、ごめんなさい…ッ！」
「ン？何で謝ってるんだ？」
いや無視しちゃったから…と謝罪を入れても目の前にある顔は笑うだけで覆い被さった体を退けようとしない。
「さっき返事してたろ？」
「だ、だから適当に返事しちゃってごめんなさい………」
「適当だったのか？悲しいなぁ…」
白々しく言う弟者は私の謝罪を聞く耳を持っていないようだった。
悲しそうどころか愉しそうに笑っているではないかと、自分を棚に上げ批判したかったがもはやそれどころではない圧迫感がじわじわと襲ってくる。
「―――っていうか！お、重いっ…！！あの、お、重いんですが弟者さん…ッ！？重っ！」
「まあそうだろうな。………俺が全身全体重を掛けて押さえ付けてるんだからな」
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作者名：なまくら | 作成日時：2018年8月15日 22時
