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某日、鏡雨は家から出てとあるバーに向かった。
その日は雨で、今にも雷が鳴り出しそうな土砂降りだった。
ドアを開ければ、店内は静まり返っていた。
何故なら今日は定休日。
本来なら営業していないからだ。
「…久いな。」
カウンター席に座り、ポツリと呟いた。
「ええ、そうですね。」
店内から、返事が返ってくる。
しかし姿が見えない。
「…ここのマスターは俺の部下だ。安心しろ。」
「それはそれは。どうして外務省に勤める貴方の部下がバーのマスターを？」
コツ…と靴音がして、隣の席に誰かが座った。
「＿＿＿＿＿＿それは秘密だ。安室。」
鏡雨と対照的な金髪に、日に焼けた肌。
隣の席に座ったのは、安室透という男。
「まあ良いでしょう。…それよりも何の用ですか？数年間も連絡が取れなかった貴方が今更。」
「お前も変わらないだろう。…今回の件、君たちは何処まで掴んだ。」
ピカッと空が光った。
雨が一層強くなる。
鏡雨は動じる事なく元々置いてあったグラスに口をつけた。中にはだたの水。
「…そこまで掴めていない。それに、今回の件は上から手を出す必要がないと指令が出ている。」
口調がいきなり変わり、男は安室から降谷という男に切り替わった。
「…だろうな。それにしても、国を守るというのも大変だ。」
「…何故一介の外務省勤めが今回の件を知っている？…やはりお前は、＿＿＿＿＿＿」
後半は雷の音にかき消されたが、鏡雨には届いた。
静かに笑うと、グラスを指で弾く。
「＿＿＿＿いつだって、秘密は美しくて残酷だ。」
「…どうゆう意味だ。」
「…さあ？…今回の件は、少々厄介だ。だから敢えて、俺はお前を協力者にする。」
異なる蒼の瞳がお互いの色を映す。
降谷は鏡雨の真意を理解しようと目を真っ直ぐに見る。
しかし、その目は昔と変わらない。
真意を悟らせず、鏡のように、ただ相手の顔を映す。
まるで己が覗かれているようだ。
降谷は諦めて、カウンターテーブルに視線を外した。
鏡雨はその様子を見て再び笑うと、席を立った。
「俺はこれから仕事だ。追って連絡する。」
「……変わらないな、お前は。」
降谷の言葉に、きょとんとした顔の鏡雨。
「いつもお前は、俺の先を行く。」
「…俺だってずっと追ってるよ。」
＿＿＿＿＿＿過去の亡霊をな。
二人はそこを後にし、別れた。
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御夜(プロフ) - 有難うございます！古都月兄妹は完全オリジナルなので不安だったのですが、そう言ってくれると嬉しいです！ (2018年5月7日 22時) (
レス) id: 7d87b2f17e (このIDを非表示/違反報告)
姫歌(プロフ) - とても読んでいて面白いです！自分の好きなタイプの小説で一気に読んでしまいました。古都月兄弟の会話とかもホント面白いので、これからの更新とても楽しみにしてます！ (2018年5月7日 22時) (レス) id: 615f42e683 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：御夜 | 作成日時：2018年4月21日 18時
