【шτ】Like a dream【短編集】

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「失礼します」

あらかじめ伝えられていた手順通りに南門のすぐ脇にある元衛兵詰所に顔を出すと、見たことのある顔が私を出迎えてくれた。
「革命軍・西部農民連合代表」の彼の名は、確かきんときさん。Nakamu＿＿実は私の幼馴染＿＿とシャークんに連れられて、何度か私の家に遊びにきたこともあった。

「どうも。シャークんの彼女さん(・・・・・・・・・・)」

農民出身にしては洗練されたお辞儀を私にし、そしてそう言って彼はにやりと笑う。
やや俯きながら、恥ずかしさのせいでうまく回らない頭でありがとうございます、と意味不明な言葉を口にすれば、飾られていない、素の笑い声が頭上で響いた。

「ごめんっ、ごめんねからかって！あいつは元気だよ」
「本当ですか！......よかった」
「早く会いたいよね、行こっか」

ここ、広いからしっかり着いてきてね、と私に釘を刺し、こちらに気を遣ってかゆっくりと歩みを進める彼の後ろを着いて歩く。

シャンデリアの美しい大広間を抜け、大きくカーブした階段を登り、大きなステンドグラスが特徴の大聖堂を横目にして、その脇に取り付けられた木の扉を通り抜け。
ぐるぐると歩いているだけで目の回りそうな、塔を登る石階段。どこからか冷涼な空気が吹き込むそこを抜け、たどり着いたのは、天井近くまで取り付けられたガラス窓が印象的な広く長い廊下だった。


「＿＿あ、おねーさんもしかして、シャークんの彼女でしょ！」

廊下の向こう側からちょうどやってきたBroooockさんが、にっこにこの笑顔で私の顔を覗き込む。この人は多分いつだったかに、シャークんとの剣の試合の審判を私に頼んできた人で合っているだろう。
そのふわふわとした口調と容姿からは到底、彼がシャークんと同じくらいの戦闘狂だとは想像できない、といつも思ってしまう。

ぴ！と陽気な掛け声とともに彼はすぐ近くにあった両開きの扉を指差し、そっと私に囁きかける。

「シャークん、Aちゃんのこと待ってるよ！」
「その、実はシャケはNakamuの予算管理の仕事を手伝わされてて＿＿」

釈放直後から働かされてんだよね、と呆れた顔できんときさんが付け加える。
幼い頃から数字が苦手だったNakamuだけれど、それは革命軍代表として、新政権代表として、国のトップにまで上り詰めた今も変わらないらしい。

ふふ、と2人には聞こえないくらいの声で笑い、指し示された扉に手をかける。
そんな重要なことを扱っている幼馴染と彼氏を、誇らしく思いながら。

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