愛とか恋とか【短編集】

不良少女とお世話係 ページ1

「また問題起こしたんかぁ?」
俺は彼女に聞く

「うるせぇ」
彼女はふいっと顔を背ける

「口が悪いぞ」
俺はまた注意するがかえってくる言葉はわかってる

「うるせぇ」

やっぱりだ

「男子殴ったんやってなぁ
本当か?」
俺は優しく問う

「だったらなんだよ」
彼女はそう答える

「何でそんなことしたん？」
俺はまっすぐ彼女をみる

「ムカついたから殴った」
彼女はそう答えるがまだ理由があるはずだ

「なんでムカついたん？」
そこが重要なのだ

「あんたには関係ない」
きっぱり言って彼女は歩いてく

「ちょっ!
話し終わってへんで！」
それでもそれでも無視していってしまう彼女にため息をついた

「おっ！
ちーす!」
あとを追おうとしていたとき肩を叩かれ振り向く

彼女の悪友だ

「あれ?
あいつと一緒じゃないんすねー」
悪友ちゃんはニタニタ笑う

「今逃げられたとこや」
俺が不機嫌にいうと悪友ちゃんはいった

「昨日殴った件は許してやってくださいよ」
まだニタニタと笑う

「だってアレ
あんたのためッスよ」
「は?」

思わず口をついて出た

「あの男、あんたの悪口言ってたんすよ
けっこうひどくて
で、あいつ殴っちゃって………って
ちょっと!!」

俺は話の途中で走り出した
にやける顔を必死におさえた

彼女の背中がみえ、彼女の名を呼ぶ
彼女は振り向いた

「俺のためやったんやな」

彼女は驚いた顔をしたあと
「あいつか?」
と聞く

「悪友ちゃんが教えてくれてん」
というとチッと舌打ちする

「ありがとうな」
俺が笑っていうと

「うるせぇ」
と顔をそむけた

その顔は真っ赤だった

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