ズレゆく歯車 ページ10
ある程度資金が集まった頃、二人の青年は和国を出た
「船長によれば、母国まで二、三日は掛かるらしい」
ネーヴェがマフラーを巻きながら言った
「結構かかるな……。まぁ、鉄道で行くって手段もあったがそれを選ばなかったしな」
荷解きをしながらグルッペンが言った
「鉄道で約一週間ほど、船で二、三日それなら船を選んだ方がマシ。することがないのは確かやけど」
向き直ったネーヴェが言った
「だな。これからどうしようか。金もあの頃よりない。国もどれだけ廃れてるか定かでない」
ネーヴェを見ずに視線を落として言った
「でも、核が二発ぐらい落ちてなかったっけ。そう考えると威力は分からんけど国力はないやろ。基地に、城に敵兵が侵入してたんやったら君の……」
グルッペンの、これ以上言わないでくれ、という視線に気づきネーヴェは言葉を切った
そして続けて
「分かった。でも城も街も全てそのままという保証はない。どの国も取らなかったら俺たちの母国は死んだも同然。復興をする国民の人手も少ないやろうし」
と言った。
「だろうな。国民のやる気がなければ復興もクソもない」
察したような顔をして答えた
「夜……。寝よっか」
外を見て今の時間を知ったネーヴェは寝るように促す
「だな。お休み」
もうそんなに時間が経ってたのかと言いたげな顔をして挨拶した
−数日後—
「長かった船旅もやっと終わりか」
海以外の景色を二、三日ぶりに見たグルッペンが呟いた
「だね。降りる準備しよか」
独り言を聞いていたネーヴェが答えた
「よし、行こうか」
準備が終わったネーヴェが言った
それに続きグルッペンが答えるように立ち上がった
「兄ちゃんら、ほんまにこの国に用があるんか？」
見かねた乗組員が問うた
「はい。数年前の戦争で他国に亡命していたので今の状況を把握したくて」
問いに答えたのはグルッペンだ
「そうかい。自由のないこの国の生まれか。この国は鎖国しておる。一度入ったら二度と出てこれん。それを頭に入れといてくれ」
乗組員は返答に対して今の国の政策について軽く説明した
「態々ありがとうございます」
礼をネーヴェが言った
船を降りた2人は入国審査を受け、無事入国した
「結構、寂れてるな」
国の惨状を見たグルッペンが呟いた
「建物も戦争でボロボロになってそのままみたいだし……。国民のやる気がなかったんだね」
呟きに対して答えた
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