歌～孤独の哭～ (ページ19)

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眠る君へページ19

俺は今日も彼女が、Aが眠る病室を訪れた

「ごめんね。君の意思を尊重するべきだったんだけど、どうしてもAに生きてほしくて治療を頼んだ。副作用でどれだけ眠るか分からないけど」

呼吸は安定しているから何も心配することはない筈

「君から朝を取り上げたのは駄目だったかな。また君のおはようが聞きたい」

治療を受けさせると言ったのに俺は時間が戻ればとばかり願う

叶いもしないのに

君に話しかけ続ければ気づいてもらえる、副作用で記憶が無くなるかもしれないのにそう思うんだ

何でだろうね、不思議な勘だ

また手を繋いで街を歩き回りたい

体力を考えると長距離は無理かもしれないけど散歩でいいから歩きたい

「嘘でできた世界だけど、君に生きてほしい。何も覚えてなくても俺は君が生きていたらそれでいい」

どうにもならないけど

治療をしても数年しか寿命が延びなくても

俺は光を唄う

明けない夜はないと教えてくれた君に語るよ

「ごめん。俺は君を憶えているよ。何があっても。でも、もう毎日此処に通うことは難しい。行けなくなるかもしれない」

それでも、俺は君を忘れない