40杯目 ページ40
「だから、そういうの関係なく俺のこと好きだって言いきってくれたAちゃんの言葉に、ものすごく安心した、愛想尽かされてなくて良かったって思った……聞けたのは、なるせのおかげなんだけどね」
何か声をかけようかと悩んだが、さっき止められたのを思い出したので静かにその言葉の続きを待った。
「可能性がなくても諦められないって言ってたけど、それは俺の方。運命の相手じゃないからいいや、めいちゃんもういいやって思われたって、今更諦められない。
……それくらい、どうしようもないくらい、Aちゃんのことが好き。俺と、付き合ってください」
私がさっき想いを口にしたときみたいなたどたどしさに、先輩も同じなんだと安心して、その手を強く握り返した。
「……はい！」
その瞬間、私の手の中にいためいちゃん先輩の手が一気に緩んだ。
「……はぁ、やっと言えた。ごめんも、好きも」
安堵のため息をつく先輩に、たまらない愛おしさを覚える。そこでやっと、花火の音がしていることに気付いた。
「花火、始まっちゃったね」
「いいですよ、花火以上に良い思い出できたので」
先輩は照れくさそうに目線をそらして、思い出したように、
「そういえば、なるせの代わりにジュース買ってきたよ」
と、私に1本のボトルを渡した。
――私たちの出会いの、オレンジジュース。
「ありがとうございます」
受け取ろうと手を伸ばしたとき、先輩がさらにジュースを高く掲げるものだから届かなくて、よろけてしまった。それを支えるようにして、先輩は私を抱きしめた。
「もう離さないから」
先輩の熱に包まれて、花火の音よりも私の心臓がうるさかった。……ふと視界の隅に、赤い糸が揺らめいた。ちぎれたはずの糸がまた固く結ばれているのを目視した瞬間――赤い糸も何もかも、見えなくなってしまった。
「……へへ、先輩だいすき」
心地よいあたたかさに身を任せてそう呟くと、
「やば、キスしたい……だめ？」
と言われたので、
「え、早くないですか？！」
と色気のない大きな声が出てしまった。
「……断りはしないんだ」
「嫌じゃ、ないですから」
するとその声を合図にしたみたいに、二つの影が重なった。花火の音の代わりに聞こえるのは2人の心臓の音のみだった。
――これは運命なんて綺麗なものじゃない。赤い糸で喩えるならば、無理やり手繰り寄せた関係だ。
――だから、ちぎれないように強くする。解けないように固く結ぶ。……この関係は、何と名付けようか。
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を。(プロフ) - Mrs.ぱんぷきんさん» 今回もお付き合いありがとうございました！感想とても嬉しいです;;新作全然思いついてないのでいつになるか分かりませんがまたそのときはよろしくお願いします！！ (8月17日 10時) (
レス) id: 8f27bf5dbb (このIDを非表示/違反報告)
Mrs.ぱんぷきん(プロフ) - 完結お疲れ様でした！ドキドキワクワクキュンキュンするような話で、食い入るように見てました！もし新作があれば絶対読ませていただきます！素敵な作品をありがとうございました！ (8月16日 6時) (レス) @page41 id: 3c19ec381c (このIDを非表示/違反報告)
を。(プロフ) - Mrs.ぱんぷきんさん» 今回もコメントありがとうございます！またお付き合いいただけたら嬉しいです！！ (2023年3月30日 18時) (レス) id: 8f27bf5dbb (このIDを非表示/違反報告)
Mrs.ぱんぷきん(プロフ) - 新作おめでとうございます！とても待っておりました！！！この作品も楽しませていただきます！！！！！ (2023年3月30日 8時) (レス) @page2 id: 3c19ec381c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：を。 | 作成日時：2023年3月30日 8時
