39杯目 ページ39
「……え、先輩?」
いつぶりになるのだろうか、ひさしぶりにめいちゃん先輩としっかり目が合って、それだけで胸がいっぱいになるくらいには、今、先輩への気持ちでおかしくなりそうだった。
「どうして、」
「なるせに言って、時間作ってもらった。……謝りたくて。ずっと無視してごめん、Aちゃんから連絡もらって、本当はもうそんなに怒ってなかったのに、俺が、素直になれないせいで、意地張って、ごめん」
不器用だけれど、真っ直ぐに伝わる想いに、私は上手く言葉が出なくなってしまった。ほんの少し間ができて、やっと返事をする。
「私こそ、先輩のこと傷つけてごめんなさい。ずっと謝りたかったんですけど……」
「俺が連絡返さなかったもんな」
「いや、勇気が出なかったんです。本当に謝るなら、返事なんて待たないで、部活のときに声をかければ良かったんです。勇気が出なかった、私のせい」
すると先輩は、噛み締めるように、
「Aちゃんは、いつもそうだね」
と呟いた。
「千羽鶴のときも、人のせいにしないで、自分で抱えようとして。いつだって真っ直ぐ言葉をぶつけてくる、本当に……こんなひねくれた俺には、勿体ないくらい」
「……先輩?」
するりと、優しく先輩が私の手を取った。その手は熱くて、触れた部分だけ熱が出てるみたいだった。
「さっきまでのなるせとの会話、全部聞いてた」
「えっ?!」
まさか、あんな告白紛いのあれを。なるせ相手だからと思っていたが、先輩に聞かれていたなんて。顔が一瞬で熱くなる。さっきまでの手の熱が、全部顔に行ったみたいだった。
「はは、やっぱりAちゃんわかりやす」
「は、恥ずかしいです」
「……ねぇ、あれの返事していい?」
「……っ、はい」
あれが何を指しているかなんて、もう言われなくても分かりきっていた。
恥ずかしさに少し俯いた目線をもう一度先輩の方へ向けると、真剣な瞳をした先輩がそこにはいて、私は目が離せなくなった。
耐えがたい夏の暑さも、今だけは忘れてしまいそうだった。
「赤い糸が繋がってるとか、そういう話を聞いてAちゃんの能力を察したとき、俺自身を見てもらえていなかったような気がして、ショックだった……Aちゃんが、好きだから。俺のことを見てくれてたんじゃないのって、腹立った。普段のAちゃんを見てたら、そんなことないって、分かるのにね」
「せんぱ、」
「そのまま聞いて」
117人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
を。(プロフ) - Mrs.ぱんぷきんさん» 今回もお付き合いありがとうございました!感想とても嬉しいです;;新作全然思いついてないのでいつになるか分かりませんがまたそのときはよろしくお願いします!! (8月17日 10時) (レス) id: 8f27bf5dbb (このIDを非表示/違反報告)
Mrs.ぱんぷきん(プロフ) - 完結お疲れ様でした!ドキドキワクワクキュンキュンするような話で、食い入るように見てました!もし新作があれば絶対読ませていただきます!素敵な作品をありがとうございました! (8月16日 6時) (レス) @page41 id: 3c19ec381c (このIDを非表示/違反報告)
を。(プロフ) - Mrs.ぱんぷきんさん» 今回もコメントありがとうございます!またお付き合いいただけたら嬉しいです!! (2023年3月30日 18時) (レス) id: 8f27bf5dbb (このIDを非表示/違反報告)
Mrs.ぱんぷきん(プロフ) - 新作おめでとうございます!とても待っておりました!!!この作品も楽しませていただきます!!!!! (2023年3月30日 8時) (レス) @page2 id: 3c19ec381c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:を。 | 作成日時:2023年3月30日 8時