32杯目 ページ32
「A、おつかれー」
「柚月！お待たせ」
一緒に帰るというのは建前で、実際は立ち話をするだけだ。暑いだなんだ言いながら、グダグダと話し続けるこの時間が好きだったりする。学校近くのコンビニでアイスを買って、そのそばにある公園に行くことにした。今日は久しぶりで長話になりそうだから、座れる方が良いという判断だ。
「この間の先輩とのデートはどうだった？」
「あー、えっとね……」
照れくさいと思いながらも、いつも一緒で私のことを応援してくれていた柚月にはずっと話したかった。
「えー！もうそんなの好きじゃん！なんで付き合ってないの？」
はしゃぎながら楽しそうに聞いてくれる柚月を見ていたら、 だんだん先輩との関係に自信が出てきて、優越感に浸ってしまった。
「実は、赤い糸も前とは違う気がするんだよね」
私は手を少し上に掲げた。
「……違う？」
「うん。前より太い？強くなってる気がする」
「へぇ、それって関係性の測定みたいなのもできちゃうんだね」
「そうなのかも、便利だよね。出会ったときから分かりやすくて助かっちゃうな」
――数秒後、私はこの優越感ゆえに出てきてしまったこの言葉を全力で後悔することとなった。
「Aちゃん、それってどういうことなの」
それは間違えることができないほど、はっきりと聞き覚えがあった。
「めいちゃん、せんぱい」
「俺と仲良くなったのって、その赤い糸とやらがあったから？」
私のこの不思議な能力を、察しの良い先輩は会話から分かってしまったのだろうと、瞬時に理解する。
「ちが……」
「便利って、そういうことだよね」
こんなに暑い夏なのに、先輩の声の冷たさに震えた。
――刹那。
掲げていた手から伸びていた赤い糸が、視界の中で激しく揺れて、そして――ちぎれてしまった。
初めて見る衝撃的な光景に、目の前の様子がスローモーションに見えた。
背中に伝う汗は、暑さによるものか、冷や汗か。
「やめよっか、お祭り行くのも」
そう言って立ち去る先輩のことを追いかけたいと思っているのに、何故か動くことができなかった。その背中が遠くなっていくのを見て、そのまま会えなくなってしまうような心地がして、絶望でいっぱいになる。
「どうしよう、わたし、先輩のこと傷つけた」
……頬に液体が伝う。また汗かと思ったが、それは涙だった。
___
お久しぶりです！諸々落ち着いたのでここからラストまで駆け抜けたいです。通知でいつも励まされておりました、ありがとうございます;;
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を。(プロフ) - Mrs.ぱんぷきんさん» 今回もお付き合いありがとうございました！感想とても嬉しいです;;新作全然思いついてないのでいつになるか分かりませんがまたそのときはよろしくお願いします！！ (8月17日 10時) (
レス) id: 8f27bf5dbb (このIDを非表示/違反報告)
Mrs.ぱんぷきん(プロフ) - 完結お疲れ様でした！ドキドキワクワクキュンキュンするような話で、食い入るように見てました！もし新作があれば絶対読ませていただきます！素敵な作品をありがとうございました！ (8月16日 6時) (レス) @page41 id: 3c19ec381c (このIDを非表示/違反報告)
を。(プロフ) - Mrs.ぱんぷきんさん» 今回もコメントありがとうございます！またお付き合いいただけたら嬉しいです！！ (2023年3月30日 18時) (レス) id: 8f27bf5dbb (このIDを非表示/違反報告)
Mrs.ぱんぷきん(プロフ) - 新作おめでとうございます！とても待っておりました！！！この作品も楽しませていただきます！！！！！ (2023年3月30日 8時) (レス) @page2 id: 3c19ec381c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：を。 | 作成日時：2023年3月30日 8時
