28杯目 ページ28
緊張感が抜けなくて、水族館までのたいして遠くもない道のりが無限に感じられた。
「チケット買うから待ってて」
「え、あ、ありがとうございます!」
着いてすぐに、先輩がチケットを買いに行ってしまったため手が離れてしまった。残った僅かな熱を逃がしたくなくて、握りこぶしを作っていた。思っていた以上にその手に力が入っていたようで、戻ってきた先輩に、
「誰か殴ろうとしてる?」
と笑いながら言われたため、反論する。勘違いが何だか面白くなって、私も笑った。
「……そういう、いつもの感じでいいよ」
その後そう言われて、やっと先輩の冗談の意図に気付かされた。
……もしかして、私が相当緊張していたのに気付いて、ほぐそうとしてくれたのかな。
*
「先輩見てください、ダイオウグソクムシ!」
「そこでテンション上がる子初めて見た」
自分の2倍くらい緊張していたAちゃんにリラックスしてほしくて普段のような空気感を意識して作ってみたものの、あまりにも緊張感がほぐれすぎて吹き出してしまった。すると照れくさそうに笑う姿は何だか可愛らしくて、Aちゃんに振り回されている自分に気が付いた。
「あ、海老だ!食べたい」
「水族館来て食べたいは残酷すぎません?」
自然体で話せるいつもの通りの雰囲気に楽しくなって、お互いずっと笑みがこぼれていた。
――このときに、不思議な勘が働いた。これから先もこんな風に笑いあっているようなビジョンが何となく見えたような気がした――。
「……先輩?どうしました?」
「えっ、なんでもないよ?!」
少しの間そのビジョンに囚われていたのかしばらく黙ってしまったようで、Aちゃんが心配そうにこちらを見ていた。
「なら良かったです、次行きましょ!」
*
薄暗い空間でクラゲが揺蕩う神秘的な空間にやってきた。自然と距離が近づいていて、肩がぶつかる。
「わ、ごめん」
「いえ!大丈夫です」
Aちゃんと視線が混じりあって、一瞬時が止まったような気がした。
「……ねぇ、なるせとどういう関係なの」
クラゲみたいにふわふわした気持ちにけじめを付けるみたいに、思い切ったことを聞いてみた。
___
少しだけ書いて非公開にすることを何度かしていたので更新日時だけは動いていたのですが、その日付すらだいぶ前で驚きました。多忙につきなかなか更新できない状態ですが、お気に入りやいいねありがとうございます(;;)
しばらく更新頻度低め内容少なめで恐縮ですが引き続きよろしくお願いします!
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を。(プロフ) - Mrs.ぱんぷきんさん» 今回もお付き合いありがとうございました!感想とても嬉しいです;;新作全然思いついてないのでいつになるか分かりませんがまたそのときはよろしくお願いします!! (8月17日 10時) (レス) id: 8f27bf5dbb (このIDを非表示/違反報告)
Mrs.ぱんぷきん(プロフ) - 完結お疲れ様でした!ドキドキワクワクキュンキュンするような話で、食い入るように見てました!もし新作があれば絶対読ませていただきます!素敵な作品をありがとうございました! (8月16日 6時) (レス) @page41 id: 3c19ec381c (このIDを非表示/違反報告)
を。(プロフ) - Mrs.ぱんぷきんさん» 今回もコメントありがとうございます!またお付き合いいただけたら嬉しいです!! (2023年3月30日 18時) (レス) id: 8f27bf5dbb (このIDを非表示/違反報告)
Mrs.ぱんぷきん(プロフ) - 新作おめでとうございます!とても待っておりました!!!この作品も楽しませていただきます!!!!! (2023年3月30日 8時) (レス) @page2 id: 3c19ec381c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:を。 | 作成日時:2023年3月30日 8時