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26杯目 ページ26

ジリジリと日差しを浴びながら、蝉の大合唱を聞きつつ駅に向かう。なるべく汗はかきたくなったが、どうしようもないくらいに上昇した気温のせいで、避けることが出来なかった。それでもそんなに気にせず居られるのは、今日が特別な日――めいちゃん先輩と出かける日だからだ。好きな人と会うのだから無論汗など嬉しくないが、それも悪くないかと思えるほどには、今日の私は浮かれていた。

迷いに迷った末、行先は天気も気温も気にする必要が無い水族館となった。夏だしデートだし、と下品にならない程度に肌を見せるコーデを柚月に薦められ、普段よりは気合いの入った服装であることも相まって落ち着かない様子で集合場所へ向かう。もう来ているか辺りを探していると、同じく周りを見渡しているめいちゃん先輩がいた。丁度同じタイミングで着いたようだった。

「――先輩!」
「あ、Aちゃん」
勇気を出して声をかけると、私に気付いた先輩の表情がパッと明るくなったような気がして嬉しくなった。普段は制服かジャージ、ユニフォーム姿しか見ることが無いため、私服の先輩が目新しく見えた。
「ごめん、待った?」
「いえ、私も今来たところです」
「なら良かった。行こっか」
「はい!」
そう言って歩み始めた先輩の歩幅が大きくて、追いかけるのに必死になる。ここで手を引くなど思い切った行動ができれば良いが、私にはできなかった。精一杯の力を振り絞ってやっとできたことは、服の裾を引っ張るだけだったそのやっとの思いで触れた服も、気付いた先輩が振り返ったことで急に冷静になって、手を離してしまった。
「ごめん、歩くの早かったね」
「あ、いえ、すみません服伸びちゃいますよね」
暑さか恥ずかしさか、顔が赤くなるのを感じる。
「……じゃあこっち握っとく?」
そう言って先輩が手を差し出した。あまりにも突然の事で驚いて、選択権を与えられたことで反射的に、
「だ、大丈夫です」
と言ってしまった。後悔の念が全身を駆け巡る。
「俺、はずかしー」
先輩は気まずそうに笑う。気を使わないように自虐しているのを感じ、いたたまれない気持ちになった。私は先輩の手を両手でがっちりと掴んだ。
「……嘘です!慣れてなくて、ビックリしちゃって……ごめんなさい、本当は繋ぎたい、です」
「……ん、そっか」
照れる先輩を見て自分も恥ずかしくなってきた。
「でも流石にこれじゃ歩きにくいね」
そう言って繋ぎ直された手が熱くて、今日の気温がさらに上がったように感じた。

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を。(プロフ) - Mrs.ぱんぷきんさん» 今回もお付き合いありがとうございました!感想とても嬉しいです;;新作全然思いついてないのでいつになるか分かりませんがまたそのときはよろしくお願いします!! (8月17日 10時) (レス) id: 8f27bf5dbb (このIDを非表示/違反報告)
Mrs.ぱんぷきん(プロフ) - 完結お疲れ様でした!ドキドキワクワクキュンキュンするような話で、食い入るように見てました!もし新作があれば絶対読ませていただきます!素敵な作品をありがとうございました! (8月16日 6時) (レス) @page41 id: 3c19ec381c (このIDを非表示/違反報告)
を。(プロフ) - Mrs.ぱんぷきんさん» 今回もコメントありがとうございます!またお付き合いいただけたら嬉しいです!! (2023年3月30日 18時) (レス) id: 8f27bf5dbb (このIDを非表示/違反報告)
Mrs.ぱんぷきん(プロフ) - 新作おめでとうございます!とても待っておりました!!!この作品も楽しませていただきます!!!!! (2023年3月30日 8時) (レス) @page2 id: 3c19ec381c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:を。 | 作成日時:2023年3月30日 8時

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