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14杯目 ページ14

「知ってたんです、その子たちが面倒くさがって仕事してないの。もっと早く注意できていたら……せめて、先輩に相談できていたら、こんなギリギリにならなかった。だから、私のせいでもあるので……優しさじゃないです」
やや下を見ながら、ほずみちゃんが返事をした。
……どれだけ優しい子なのだろう。それと、どれだけ自責思考なのだろう。
サボっている人がいたとて、わざわざ注意しようと言う人は立場がある人以外はなかなか居ない。それを自分のことだと思える責任感は素晴らしいし、代わりにやろうという優しさも偉いと思う。そして、それが前々から薄らと感じていたほずみちゃんの自信のなさに結びついてるのだと何となく思った。あらゆることをどことなく自分のせいだと思ってしまうから、いつもどこか自信が無いのだろう。その責任感も優しさも、胸を張れるものであるのに。
「……先輩?」
「ごめ、無意識だった」
言われて、俺はほずみちゃんの方へ手を伸ばしていたことに気が付いた。頭を撫でるなんて、弟にしかやったことあるか無いかのことだったため、恥ずかしくなった。ほずみちゃんを励ましたいという思いが、無意識に行動を起こしていた。
「やっぱり、優しいよ。俺はほずみちゃんのせいだとは思ってないけど……そう思って、罪悪感から逃げないで、その子たちの代わりにやれるって……偉いね」
ほずみちゃんは、一瞬泣きそうな顔をした、気がする。直後、あの柔らかい笑顔で――いや、それとは少し違った満たされたような顔で微笑んだ。また知らない顔を見せられて、言葉にできない感情が湧き上がった。
「俺も手伝うね」
「えっ、いや、そんな大丈夫ですって……!大会も近いし早く帰って休んだ方が」
「いーの、俺がやりたいから」
そう言って横に座ると、柑橘系の爽やかな香りがした。ふと近くなった距離に、同級生だと錯覚しかけた。部活終わりなこともあって、体がずっと熱かった。
「先輩の方が優しいじゃないですか。せっかく早く部活終わったのにわざわざ来て手伝ってくれるなんて。」
俺の方だって、優しさなんかでは無い。
……もっと知らないほずみちゃんを見せて欲しい、とか、そんな不純な動機だ。

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を。(プロフ) - Mrs.ぱんぷきんさん» 今回もお付き合いありがとうございました!感想とても嬉しいです;;新作全然思いついてないのでいつになるか分かりませんがまたそのときはよろしくお願いします!! (8月17日 10時) (レス) id: 8f27bf5dbb (このIDを非表示/違反報告)
Mrs.ぱんぷきん(プロフ) - 完結お疲れ様でした!ドキドキワクワクキュンキュンするような話で、食い入るように見てました!もし新作があれば絶対読ませていただきます!素敵な作品をありがとうございました! (8月16日 6時) (レス) @page41 id: 3c19ec381c (このIDを非表示/違反報告)
を。(プロフ) - Mrs.ぱんぷきんさん» 今回もコメントありがとうございます!またお付き合いいただけたら嬉しいです!! (2023年3月30日 18時) (レス) id: 8f27bf5dbb (このIDを非表示/違反報告)
Mrs.ぱんぷきん(プロフ) - 新作おめでとうございます!とても待っておりました!!!この作品も楽しませていただきます!!!!! (2023年3月30日 8時) (レス) @page2 id: 3c19ec381c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:を。 | 作成日時:2023年3月30日 8時

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