13杯目 ページ13
サボるはずがないほずみちゃんの姿がないのが気になって、小夏に聞いた。どうやら一部の人がサボって足りなくなった分の千羽鶴を、ほずみちゃんが負担しているという話らしい。様子を見に行ってみようと決めて、今に至る。俺が来たら驚くかな、と恐る恐る扉を開けるとほずみちゃんの姿が見えた。
「あ、ほんとにいた」
「めいちゃん先輩……?部活は?」
「今日はちょっと早めに終わったんだよね」
……話をするものの何故か流れている天国と地獄が気になり、突っ込まずには居られなくなる。
「なんか運動会やってる?」
「いや、その、BGM効果で急いで作業できるかなって」
「ぶは、ほずみちゃん面白いことしてんね」
確かにこの曲を聞いたら作業が早くなりそうだ。斜め上の発想に笑っていると、ほずみちゃんは照れくさそうにBGMを止めた。
「この千羽鶴って3年の先輩用だよね?部活休んでやらなきゃいけないほど追い込まれてるの?」
「あー、えっと、数を勘違いしちゃってる子が居て。だいぶ足りないことが発覚したんですよね」
「……その子たちがやれば良くない?なんでほずみちゃん?」
「私これを機に鶴折るのすごい早くなったから、間に合わせられるかなと思って小夏先輩にやらせてって頼みました」
何となくの事情は聞いていたため、愚痴やら相談やらしたいかなと思って声をかけてみたのだが、予想外の返答だった。サボった人たちを庇うとは思っていなかった。
「ごめん、実は全部小夏から聞いてる」
「えっ」
嘘を言わせ続けるのも何だか悪い気がして、俺も正直に答えると、ほずみちゃんは驚いた顔をした。
「……最近、ほずみちゃん居ないからさ。小夏に聞いたら教室で作業してるって聞いて。本人から理由詳しく聞けるかなって思って事情知ってたのに聞いちゃった」
「あー、なるほど……すみません、変に誤魔化しちゃって」
「いやいや、その子たちがやらないから他の人がやることになっちゃったのはしょうがないにしても、ほずみちゃんが全部負担することは無かったのに。その上庇って言わなかったの、優しいなって思ったよ?」
本人から申し出たとは聞いたものの、流石にしんどいだろう。ただでさえ普段から頑張ってくれているほずみちゃんであるというのに、庇うような優しさも見てしまったら、なんだかほずみちゃんばかりが苦労するのは腑に落ちない。
「……優しさ、じゃないので」
そしてまた、予想外の返事が来た。
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を。(プロフ) - Mrs.ぱんぷきんさん» 今回もお付き合いありがとうございました!感想とても嬉しいです;;新作全然思いついてないのでいつになるか分かりませんがまたそのときはよろしくお願いします!! (8月17日 10時) (レス) id: 8f27bf5dbb (このIDを非表示/違反報告)
Mrs.ぱんぷきん(プロフ) - 完結お疲れ様でした!ドキドキワクワクキュンキュンするような話で、食い入るように見てました!もし新作があれば絶対読ませていただきます!素敵な作品をありがとうございました! (8月16日 6時) (レス) @page41 id: 3c19ec381c (このIDを非表示/違反報告)
を。(プロフ) - Mrs.ぱんぷきんさん» 今回もコメントありがとうございます!またお付き合いいただけたら嬉しいです!! (2023年3月30日 18時) (レス) id: 8f27bf5dbb (このIDを非表示/違反報告)
Mrs.ぱんぷきん(プロフ) - 新作おめでとうございます!とても待っておりました!!!この作品も楽しませていただきます!!!!! (2023年3月30日 8時) (レス) @page2 id: 3c19ec381c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:を。 | 作成日時:2023年3月30日 8時