1杯目 ページ1
――私には、特別な力がある。
とは言っても、何か生活の役に立つようなものでは無い。ただ、"あるもの"が"見える"だけで、干渉することもできない。
「ねぇねぇA、あの人に告白しようと思うんだけど、どうかな?」
「うーんまぁいいんじゃない?……赤い糸は、繋がってないけどさ」
……そう。私の特別な力とは、いわゆる運命の赤い糸というやつを見ることができることである。
ただ、先程も述べたように干渉する力は無いので、誰かと誰かを結びつける恋のキューピットのようなことや、反対に誰かの仲を引き裂くような縁切りのようなこともできない。
その時々の人間関係に応じて、勝手に赤い糸は結ばれたりちぎれたりしている。ただ私は、それを眺めるだけ。
「えー、じゃあ辞めておこうかな!」
「なんで、付き合えないって決まったわけじゃないよ?私が見えるのは最終的な相手だし、それも変わることあるよ」
この能力がある人間として一つ言わせてもらうと、運命なんてものは絶対的なものではなく、案外流動的である。それもまた運命、といえばそうなのかもしれないが。
私の手にももちろん赤い糸はあって、どこかに繋がっている。これもまた長さがどのくらいか分からないため、辿って出会うなんてことはできないから、自然と出会うのを待つだけ。この力のせいで、恋愛というのは友達から相談されるもので、自分にはあまり縁のないものとなっていた。
……それなのに。
高校入学してすぐに、私はその糸の繋がった先を、知ってしまったのだ。
「すみません、」
「わ、ごめん!」
ぶつかって出会うなんて、まさに王道の運命の出会いみたいでは無いか。
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を。(プロフ) - Mrs.ぱんぷきんさん» 今回もお付き合いありがとうございました!感想とても嬉しいです;;新作全然思いついてないのでいつになるか分かりませんがまたそのときはよろしくお願いします!! (8月17日 10時) (レス) id: 8f27bf5dbb (このIDを非表示/違反報告)
Mrs.ぱんぷきん(プロフ) - 完結お疲れ様でした!ドキドキワクワクキュンキュンするような話で、食い入るように見てました!もし新作があれば絶対読ませていただきます!素敵な作品をありがとうございました! (8月16日 6時) (レス) @page41 id: 3c19ec381c (このIDを非表示/違反報告)
を。(プロフ) - Mrs.ぱんぷきんさん» 今回もコメントありがとうございます!またお付き合いいただけたら嬉しいです!! (2023年3月30日 18時) (レス) id: 8f27bf5dbb (このIDを非表示/違反報告)
Mrs.ぱんぷきん(プロフ) - 新作おめでとうございます!とても待っておりました!!!この作品も楽しませていただきます!!!!! (2023年3月30日 8時) (レス) @page2 id: 3c19ec381c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:を。 | 作成日時:2023年3月30日 8時