不思議な縁 ページ5
＿＿＿＿
＿＿＿＿＿＿＿
『ねぇウタ君！暇〜〜〜』
｢君。なんのために来たのさ....用があったんじゃないの？｣
着替え終わった早々に騒ぎたてて
まるで自身の作業に手が入らない状況に怒るでもなく
ただ体の向きを此方にかえて淡々と話すウタ君
そんな状況に面白くなさそうに用なんかないよ。と小さく呟いた
｢そう。でも君さ“喰べて”きたんでしょ？｣
普通の人間だったら理解できない会話を
案外ケロッとしたようにそうだけど？と
まるで挨拶程度の軽さで話す自身に吐き気がする
何かは言わなくても分かるだろう
いわばカニバリズムである
『だって、ウタ君達喰種と違って私人間だから〜』
｢別に言わなくていいよ...。｣
『ん？そう？』
それを理解しているウタは人間であろうと補食しようとは思わない
むしろ同族を喜んで食べる普通ではない狂人を面白がって
こんな不格好な縁を大事にしているのだ
だから死なないようにある程度面倒は見るし
ペットに餌をあげるように快く目玉を与えたりもしている
そんな事をながく続けているからか
互いに深く物事を言わずとも何となく今までの行動で
言いたいことが分かるようになってきているのだ
先程のはそういうことであり
一般的に使われる拒否とは違うものである
そしてウタが此方を理解しているようにまた
此方もウタの勘違いされやすい性格を理解しているのだ
だからこその関係とも言えるだろう
しかし今回ばかりは内容が内容故かもしれないのだが...。
きっと個人的に人間だから〜。に続く文字は聞きなれたからだろう
私の口癖みたいなものだ
少し簡単に文字に起こすと省かれた言葉の意味は
『喰種とは違い“人”しか“食べれ”ない“人間”の私は
三ヶ月に一度なんて回数じゃ足りないんだよ』
=だから止めようと思っても頻繁に人を食べてしまう
そういうことである
まぁそんなことは別に気にすることでもない
大雑把で浅いこの好奇心で成り立っている関係は
わりと自身が好きなもので楽な繋がりである
詮索することもなく興味以外の関係がないからこそ
なにかが変わろうとも関係は変わらない
暇な時にふらっと立ち寄り宣言もせずに去っていく
どちらもそれを心配しない
またいつか会えるだろうと双方そう思って楽に考えているのだ
たとえ会えなくとも暇潰しの道具が一つ無くなるだけ
そんな綱渡りのように繊細で不格好な繋がりである
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ヲウル(プロフ) - 励みになる応援ありがとうございます！更新頑張りますね！ (2017年10月15日 1時) (
レス) id: f858219580 (このIDを非表示/違反報告)
アイスゥ - 更新頑張って下さい。 すごい文章力ですね………。気長に待ってまーす！！ (2017年10月14日 13時) (レス) id: 0af8a34735 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ヲウル | 作成日時：2017年10月13日 17時
