第十七話 居場所 ページ17
氷「それは、我自身の在処…居場所…」
冬「居場所？」
氷輪丸は閉じていた瞳を開けて顔を上げ、続きを答えた。
氷「居場所を探すことかもしれん」
氷輪丸の答えに、冬獅郎はかつての自分…自分と妹と重ねる。
─冬「居場所…。俺の…俺達の居場所…」─
かつての冬獅郎と冬華も自身の居場所がなかった。
西流魂街第一地区「潤林安」。
まだ冬獅郎も冬華も今より幼く背も低い。
冬獅郎は木の幹に背を預け、冬華はその足元に座り込み、2人とも顔を伏せていた。
そんな2人の近くを同じ位の子供達が通り掛かり、2人もそれに気づいて子供達を見るが、子供達を2人を見るやいなや来た道を走り戻っていく。
冬「あっ…」
妹「………」
走り去っていく子供達を見て冬獅郎は木の幹から体を離すと足元に座り込んでいた冬華を立たせて手を引きながら子供達とは別の方向へと歩き出す。
─俺の事を怖がってる。冬華の事も怖がってる。特に何をした訳じゃない。けど、みんな俺達を怖がってる。
銀色の髪を指してか、
ある日、冬獅郎と冬華は共に住むお婆ちゃんに明るい声で声をかけていく。
冬「甘納豆買ってくるよ。切らしてたろう」
妹「私もシロ兄と一緒に行ってくるよ」
お婆ちゃんは冬獅郎の手に触れ銭を手渡す。冬華には気をつけてねと頭を撫で、冬華は嬉しそうに笑うと冬獅郎と共に走って甘納豆を買いに出る。
─ばあちゃんは随分痩せた。ばあちゃんが痩せていくのは、俺があの夢を見るようになってから…。─
冬獅郎と冬華は甘味処で甘納豆を買う。
店員「3環の釣りだよ」
冬「ああ…」
冬獅郎は釣りを受け取ろうとして手を差し出すが店員は手渡すのを避けて台の上に置く。
冬「なっ…」
妹「っ…」
店員は呆然とする2人に不快そうに顔を顰めている。
店員「用が済んだらさっさと帰ってくれ」
店員の様子に2人とももう諦めたようにため息を着くと冬獅郎が銭を持って冬華と共に帰ろうとすると、突然声がかかる。
「ちょっとあんた！」
冬･妹「なっ…」
2人が振り向いた時、冬獅郎側の背後に人が居たようで冬獅郎がその人物の大きな胸に押しやられる。
妹「あっ…シロ兄！」
？「客に対してその態度はないんじゃないの!!」
冬獅郎は衝撃でカウンターにぶつかって地面に倒れてぶつけた後頭部を抑える。冬華は蹲る冬獅郎に駆け寄る。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 29人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ひな☆(プロフ) - 雪音さん» ありがとうございます！頑張って書こうと思いますので今後もご愛読お願いします！ (10月16日 10時) (
レス) id: ed798ec632 (このIDを非表示/違反報告)
雪音(プロフ) - 久しぶりの更新お疲れ様です！応援していますのでこれからも頑張ってください！ (10月15日 21時) (レス) id: c510f125c3 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ひな☆ | 作成日時：2022年12月1日 17時
