妖精の尻尾最強の女魔導士『妖精女王(フェーレイン)』4 (ページ30)

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#179 戦い前夜─グレイ・ジュビア&フリード・レイナ─ ページ30

─マグノリアの街中─

ジ「グレイ様…」
グ「ジュビア」

マグノリアの景色を一望できるような場所で1人、食べ物を頬張っていたグレイの元にジュビアが声をかける。

グ「食うか？」
ジ「グ……、グレイ様の食べかけ……
はふはふはふ」

グレイはジュビアに食べかけのそれを渡す。それを受け取ったジュビアは動転する。

グ「おまえには感謝してる」
ジ「!!」
グ「いつもオレの側(そば)にいてくれるよな」
ジ「いや……、あの…、その…、ジュビアは…」
グ「戦いが終わったら答えを出すから」

グレイは真剣な表情でそう言う。ジュビアはそんなグレイの横顔を頬を染めながら見つめる。

グ「今は集中させてくれ」
ジ「はい…」

ナ「ゼレフを倒す為の秘密兵器だ」

グ「オレにもあるんだよ、秘策がな。
ゼレフ……、END、待っていやがれ」

ギルドでのナツの言葉を思い出してグレイはそう言いながら好戦的な笑みを浮かべた。

─マグノリアの街中にある河原─

レイナは1年前に妖精の尻尾解散を告げられた直後のあの時のようにそこで座っていた。彼女の腕の中では猫姿のカリンが寝息を立てている。

『………』

ただじっと目の前の川を見つめているレイナの元にフリードがやってくる。

フ「さすがのレイナでも不安か？」
『フリード…
……別にそんなんじゃないわ。でも…、きっとこの戦いでは多くが傷付くわ…。街も…人も…』
フ「…あぁ」
『だけど、私たちは絶対に勝たなきゃならない。初代を、私たちのギルドを守るの』
フ「オレもそうは思っているが、レイナは特にその気持ちが強いのだろう。何せ、レイナは8歳の頃からギルドに居るのだろう？古株の1人だ」
『ふふっ、確かにそうね』

レイナは頬笑み、そして今度は真剣な表情をフリードに向ける。

『ねえ、フリード…。私ね、フリードに伝えたい事があるんだ。だから…、死なないでね、絶対』
フ「………」

レイナの言葉に一瞬不思議なそうな顔をしたフリードだったが、すぐに頬笑みを浮かべ応えた。

フ「ああ、約束しよう。レイナの伝えたい事をきちんと聞けるように死なない事を」
『うん…。
あ、フリードは準備があったよね、付き合わせちゃってごめんね』
フ「いや、問題ない」
『ふふっ、特別に私の魔法で配置場所まで送るわ！』
フ「ああ、すまない。ありがとう」

フリードのレイナは顔を合わせて微笑み合った。

これらそれぞれのやり取りを幽体であるメイビスが空から見ていた。