4年の恋に終止符を。【七海建人】

12. ページ12

．．．





七海の部屋に置鑑なんてものは無いので私はメイク、七海は髪の毛のセットと洗面台に向かって出かける支度を進める。


高専の頃は訓練や任務で汗をかいてすぐ取れるからと基本は日焼け止めとパウダーとリップで済ましていたから色んな工程を踏んでメイクする私を物珍しそうに彼が眺めていた時は笑ってしまった。

特にアイメイクは印象がだいぶ変わるからかいつもは涼し気な目元も少し見開いていて声を上げて笑ってしまった。



『ね、リップ塗っていい？』

「？はい、どうぞ。」



あ、意味分からず言ってるな。

ふふん、と笑いながら七海の首に手を回す。



『リップしちゃったらキスできないけど。』

「……塗るの、少し待ってください。」



七海は少しはにかんで私に何度かキスをした。





．．．





財布とスマホ、最低限の荷物を持って七海の家を出る。

そして2人で七海が言っていたパン屋に向かう。

手なんか繋いじゃって、この歳で。



『浮かれてるね』

「浮かれてます」




2人でクスクス笑いながらもう高い場所まで昇った太陽に照らされながら歩く。









4年の恋に終止符を打って、私たちは何十年と続く恋の切符を手に入れた。


．．．fin ．．．

afterword→←11.

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す