ハルカミライで ページ8
今しがた現れたこの娘はとても面白いやつだった
魔導書は持っていないから同世代か
いきなり現れてオレを猪から庇う為に
大きく硬い門のようなものを創成した
だが門にしては開放的な形を成している
こんなものは見たことない
オレから少し離れた距離にいたが
正確に敵の位置を捉えて防御魔法を繰り出した
なんと緻密で繊細な魔力のコントロールと
それを叶える高い魔力
コイツ、面白いすぎるではないか！
素直に褒めてやったらハッと目を見開き
まるで氾濫したダムのように泣き出した
早く泣き止め！オレには女子の慰め方は分からん！！
こういう時はどうすれば良いのですか兄上！
恐る恐る袖元でAの涙を優しく拭ってやったら
泣き止んだ
落ち着いてきたところで泣いていた訳を聞き出した
魔法騎士団に入りたいが母親に強く反対されていること
自信を無くしていた最中に初めて誰かに褒められた事が
嬉しくてつい泣いてしまったこと
そうか
オマエは幸運だな
このオレにライバルとして認められたのだから！
「それに、周りの意見など関係ない。
自分の意志で魔法騎士を目指すのなら
覚悟を決めて強くなれ！！」
きっとそう兄上もそういうだろう
「兄上ってまさか、紅蓮の獅子王団長の
フエゴレオン・ヴァーミリオン様！？？」
「そしてやはり王族の方でしたか！
価値の高い袖元を汚してしまい申し訳ございません！」
「そんなことはどうでも良い！気にするな!」
オレが王族ヴァーミリオン家出身ことも気づいた
Aは慌てふためいて謝り倒してきた。
表情がころころ変わって騒がしい
コイツはやはり面白いな！
母親が帰宅する夕刻に近づいてきたと言って
去って行こうとしたAは足を止めて振り向いた
「そうだ！私たち、友達にならない！？」
「友人か、いいだろう
次会う時までに強くなっておけよ！A！」
「「魔法騎士団員として、また会おう！！」」
そう誓い合い
Aは王都へと繋がる長い階段を
駆け出して人波に消えていった
オレはお前がさらに強くなるのを待っているぞ
誇り高き紅蓮の獅子王団でまた会おう
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作者名：お腹すいた | 作成日時：2023年5月31日 11時
