獅子との初邂逅 1 ページ5
第1、第3土曜日
この日程はお母様と複数の使用人が出掛けている日
それに朝に出かけて夕方まで帰ってこない
何故か平界のネアンという街に向かっているらしい
ネアンという街は何か楽しいものでもあるのか
聞いたけどお母様はまた教えてくれなかった、ケチ！
「お母様はもう出掛けた！これで自由だ〜！」
お母様と護衛として付き添う使用人の
魔力は近くに感じられない
なのでもう特訓に向かおうと思う
あとは特訓だとバレないようにワンピースを着て
汚れがつかないように全身に薄く見えない結界を纏う
この2つをずっと続けて来たからか
魔力のコントロールと魔力感知は自信がある
「Aお嬢様、どこかに行かれるのですか?」
「いい天気だし散歩してくるね〜
夕方には戻る！」
「かしこまりました
お気をつけて行ってらっしゃいませ」
今日は王貴界を出たすぐの森に向かう
「どうしても、攻撃魔法が上手くいかない…」
木を敵と見立てて攻撃魔法を放った
何回やっても3分の1程度しか切り込みが入らず
木を完全に折ることができない
魔力のコントロールは問題ない
正確に当たっている
要は単純な火力不足
移動魔法や回復魔法の使い手だって
こんな木くらいへし折れるはず
私の結界魔法じゃ攻撃に向いていない
あの日のお母様の言葉がふと浮かんだ
「魔法騎士にだけは絶対にならないで」
そっか
お母様は私が魔法騎士に向いてないから
あんなに言ってくるのかな
魔法騎士団へ入れたとして
私の魔法じゃ肝心な時に誰も守れないのかもしれない
自分も、助けを求めてる人の命も
「…全然集中できてない、もう帰ろ」
帰ろうとして踵を返したその時
「…！？ なに？この強い魔力は」
2時の方向、500メートル先に強い魔力を感じた
相当な炎魔法の使い手と、獣が3体？
そういえば畑を荒らす獰猛な猪もいるんだっけ
周囲に他の人間の気配はない
魔力が高くても1人で3体もの獣を相手にするって
いくらなんでも大変なんじゃ
「私も行かないと」
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作者名：お腹すいた | 作成日時：2023年5月31日 11時
