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狛犬と飼い主 ページ23

「稽古だとはいえ、女子の顔を全力で殴打するとは
流石に姉上とてそれは聞き捨てならん…」

「ですが敵なら容赦なく命を狙ってくるはず!
実戦を考えて行動できていなかった
私が未熟者なだけです!」

ならばお詫びに。とフエゴレオン団長は
何か好きなものを買い与えようと言ってくれた

後日黄昏時
お互いの任務が終わった後
季節はもうすぐクリスマス

色とりどりの明かりが街を彩る
私達は王都の雑貨屋が集まるエリアに来ていた

しかしまあ、目立つ目立つ

「フエゴレオン様ー!」
「フエゴレオン様こっち向いてー!」

「隣にいるのは新しい団員の子?」
「ふーん…ちんちくりんね」

視線が痛い

団のローブを着ていなかったら
視線で刺し殺されていたとも思う

流石我らが団長
老若男女問わず人気がある

「Aよ
少し人気がないところに移動するか」

フエゴレオン団長はそう言うと
困ったような笑みを浮かべながら大通りを抜けていった

「そこの人たちあぶなーい!!」

その声はワンワン!という鳴き声と共に聞こえ
犬と飼い主が一目散にこちらへ向かってくる

どうやら犬は、その視線の先にいる者に
飛びつこうと走っているようだ
飼い主はその勢いを抑えようとするが敵わず
まるで散歩から帰りたくない犬のよう引きづられていた

駆け出した犬と引きずられる飼い主に夢中になった私は
避けた先にある水たまりに気づくことができなかった


水たまりを踏ませまいとフエゴレオン団長は
自身の胸元に私を抱き寄せ、お互いの身体が密着する

「全く 余所見は良くないな?」


腰にはごつごつとした男性特有の大きな手
フエゴレオン団長の大人の余裕と色気と
任務後とは思えない程の良い香りを至近距離で感じ
私の思考はショート寸前だ

うんとすんとも言わない私を心配し
団長は私の両肩を掴み上体を起こしてくれた

私達の身長差はかなりある
団長は188cmの高身長

その団長がわざわざ私の身長に合わせて屈み
私の顔を覗き込む。まるで言うことを聞かない犬を
優しく躾ける様な表情と口調でこう言った

「大丈夫か?A

ちゃんと足元を見ないとダメだろう?
それにいつもお転婆なオマエが静かなのは調子が狂うな」

「ワン(はい)」

「おいA。今日はいつもより変だが疲れてるのか?」

「ワン(いいえ)」

「Aよ言葉遣いが乱れているぞ」

団長のせいで思考が定まらない!

団長と狛犬→←私の武器



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作者名:お腹すいた | 作成日時:2023年5月31日 11時

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