生放送の主役は私だ！3【wrwrd】 (ページ16)

今日:3 hit、昨日:4 hit、合計:104,366 hit

87話ページ16

いつの間にか先輩もゲームをやめていて、5人で談笑していた。
言い合う声も、大きな笑い声も、いつもと同じなんだけど私の両隣にいる2人が入るだけで、いつもより少し先輩とゾムの声が楽しそうに思えた。
会えないところにいる仲間とこうやって会って騒げるのは、凄く楽しい事だと思う。
さすがの心無い先輩も、それは変わらないようだ。

「せやAちゃん、明日スイーツデートでもせぇへん？」
『スイーツデート？』
「この近くでな、新しい店がオープンしたんやって。それが東京で営業しとるめっちゃオシャレで美味しいって評判の有名店の系列なんやけど」
『え、行ってみたい！』

いらない情報だろうが私は甘いもの大好き。
苦手なものもあるけれど、基本的に好き。
オスマンさんがお勧めするお店なら、きっと外れはないだろう。

「ならよかった。せっかくだからこっち来た時誘おう思ってたんよ」

カチャリ、と笑顔で紅茶を啜りながら嬉しそうに言ってくれる。
紅茶の作法とかあるのか知らないけど、凄く綺麗な所作で見とれてしまう。

「それは俺も行ってみたいな」

後ろの方からあの低いバリトンボイスが流れてきた。
振り返ればその声の持ち主は目を爛々と輝かせ滅茶苦茶いい笑顔でこちらを見ていた。
そうだ、この人も甘党で有名だった。

「えー、今度トントンらと行けばええやんかー。僕はAちゃんと2人で行きたいん！」
「どうせ行くのなら一緒でもいいだろう。俺も明日は暇だしな」

えぇー！と顔を歪めてオーバーに反応するマンちゃんと、余裕綽々に口元に笑みを浮かべるグルッペンさん。
反応だけ見れば本当におじ様とJKのやり取りみたい。
おっさんとは言ってないからね。

「お前らいつでもAちゃんと会えるやん！極偶にしか会えないんやから譲ってやー」

ひとらんさんの方に体を向けてグルッペンさん達に振り返っていた私の背中に、オスマンさんがぎゅーっと抱き着いてくる。
細いのに思ったよりも硬くてがっしりした胸元と腕に、男だと認識した体がガチガチに固まる。

「マンちゃん、A困ってるよ」
「えー？ほんまや耳まで真っ赤。かわえー」

せっかくのらんちゃんの擁護も虚しく、ぎゅうぎゅうと力を強めてくるJK。

『JKの力じゃない～…』

う"ぅ"…と声を漏らす私に、なんて事言うんやと更に力を強めてくるマンちゃん、慌てるらんちゃん、それを見て笑う皆。
今日は集まれてよかったなぁ。

次の日、結局3人でスイーツ巡りをしました。