スカブロ世界のイレギュラー【wrwrd】 (ページ8)

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攻略6日目ページ8

『そう…だったんですね…僕は一度…』

無意識に心臓部分へ手を当てる。
ほんますまんなぁ、と僕の肩に乗ったゾムさんの頭を撫でる。

『大丈夫です、どうにもならない状態だったんでしょう？苦しみも対して感じなかったし…強いて言えば空腹くらいですかね』

あは、と小さい笑みを零せばゆっくりと顔を上げるゾムさん。
その顔は可哀想なくらい悲愴に満ちていた。
きっと彼は、大事な仲間を傷付けられたら一番に怒るタイプの人なんだろう。
仲間思いの優しい人だ。

「はいはいゾムさん、Aちゃんが困っとるからはよ離れんさい」

グッとフードを掴んで引っ張る鬱さんだけど全然ビクともしないゾムさんに、ん゛ーっ！と唸っている。
なよっとした彼に、身長も高く力のあるゾムさんは手に負えないだろう。

「とにかくはよ中入ろうやー」
「おっ前…そんなやから心無い言われんねん」
「なんやねん！生き返んのわかっとんのやから心配したって意味無いやろぉ！」

トントンさんとコネシマさんの言い合いを聴きながらゾムさんに腕を引かれて立ち上がる。
そう言えば、ここは交易島と言っていた。
何があるのだろうか。
交易と言うからには誰か人がいるのか。
一人目覚めた時の憂鬱感はどこに、わいわいと騒ぎながら歩みを進める。

「ーーー様々なアイテムを売買することが出来ます。上手く攻略に役立てましょう！」
「お、ええぞぉ」

階段を登って行った先にある立て札をトントンさんが読む。
売買って事はやっぱり人がいるのか。
独りではなかったのか。

「お、おぉ！この先スキル設定所！」

スキル設定所？
この世界では何か能力を使えるのだろうか。

「みんなこっちよー！」

マップを把握しているような足取りのゾムさんにわらわらと着いていく。
向かった先には儀式でも行うような台座があり、その真ん中に金のブロック。

「そこ踏めばワープ出来るはずや」

案内人よろしく、ゾムさんがそう言えば我先にと金のブロックの上に乗り消えていく三人。
そんな警戒もなく先急いで大丈夫なのか。
痛覚やら再現するような創造者だぞ、何が起こるかわからない。
だがそこは彼らの仲間、信用出来る人物なのだろう。

「俺らも行くで」

お先ー、とこちらを見ながら消えていくゾムさん。
生唾を飲み込んで一歩を踏み出す。
彼らと一緒なら、きっと大丈夫。