スカブロ世界のイレギュラー【wrwrd】 (ページ4)

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攻略2日目ページ4

ゆっくりと視界が開かれていく。
意識が遠のく前までと同じ場所に立っていた。

『…夢か』

自分以外の誰かがここにいるなんて、なんとも有難くて苦しい夢だろうか。

『誰もいるはずないじゃん』

しゃがみ込み、抱える膝に顔を埋める。

「おっ、リスポーンしたんやな！」

ジャリッジャリッと音が近づいてきたかと思えば目の前に何かが着地する音。
顔をあげれば夢に見た緑のパーカーを着た男がいた。

「どしたん、立てへんの？もう腹減ってないやろ、体力も全快のはずやで」

頭の後ろで両手を組んでこちらを見下ろしている。
言われたように、確かにあれ程感じていた空腹感は無かった。
そういえば目を覚ました時立っていたな、と今更自覚しては立ち上がる。
体が軽い。

「ん、大丈夫そうやな！とりあえず着いてきてくれん？俺ん仲間んとこ連れてくわ」

深く被ったパーカーと辺りを覆う暗闇のせいで顔は見えないが、ニカッと笑っているのだろう事が声で想像出来る。
行くってどこにどうやって…。
戸惑う自分に気付いているのかいないのか、その男は積み上げられた砂利ブロックの階段を上っていく。
ブロックの砂利…？

「置いてくで！」

数段しかないその最後で止まると一度こちらを振り返り、慌てて砂利の階段を駆け上がる自分を確認してはまた前を向きグッとブロックを踏み込んで跳んだ。

『えっ！』

そのまま姿が見えなくなる男。
確かに隣には小さな島があった。
だけどこれだけの距離じゃ…。
足元を見れば宙に浮かぶ階段と、落ちてくるのを待っているかのように佇む奈落。
サァーッと血の気が引くのを感じ取る。

「…何しとん？」

最悪な状況しか考えられず動けないでいた自分の上から再度聞こえる小さな砂利音。
みればそこに先程奈落に飛び込んだかのように見えた男が訝しげな表情でそこにいるではないか。

「怖くて飛べへんねやったら俺が運んだるで」

言うが早いかそこから跳び頭上を通過して後ろに移動した彼の肩に担ぎ上げられた。
スタスタと階段を上がっていき、何かを確かめるようにトン、トン、と数回小さなジャンプをする。
ちょっと待って嘘だろう？

「あのちょ」
『歯ぁ食い縛らんと舌噛む、でぇっ！！』
「うわあああぁぁあぁ！！！」

突然体に襲いかかる浮遊感と風圧。
かと思えばスタッと地に足を着く男と共に消えるそれ。
思わず瞑ってしまっていた目を開ければ視界に入るのは彼の足元。
ギリギリに着地した彼の踵の後ろには、闇。
目の前がクラっとした。