スカブロ世界のイレギュラー【wrwrd】 (ページ11)

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攻略9日目ページ11

僕は今、交易島に行く前に彼らが攻略したらしい羊が湧き出る小屋の横で項垂れている。
人がいると思っていた交易島内部。
購買所には確かに人がいた。
いたのだが。

「…おぇっ…」

みんな同じ顔で、同じ声で、ホワァホワァ言うだけだったのだ。
それがまた可愛い顔とかだったらまだ良かったのだが…なんとも言い難い顔だった。
あまりの気味の悪さに吐き気を催してしまい、今ここで休ませてもらっているのだ。

羊小屋の周りでそれぞれに作業したり会話したりする中、顔を上げれば目の前では何やら動き回ったり土を掘りまくっているゾムさん。
好奇心旺盛と言うか最早子供なんだよなぁ…。

『…？』

何やら動きが変わったようだ。
1ヶ所に執着して周りを削っている。
吐き気が少し落ち着いたので、そちらに近付いてみる。

「ぅうぁ！びっくりしたあ！！」

変な箱を壊した瞬間ゾムさんの心底驚いたような叫び声が響いた。
その声に鬱さんが反応したが、返す事無くまた無言で掘り進めていく。
TNTと書かれた赤いブロックを持ったまま。

覗いてみると、彼は埋まっていた宝箱を開けたかったらしい。
その上に乗っている石ブロックを叩いた瞬間。

「ーーーー…」

こちらを見る。
あー…と何かを考えているようだ。

「A、少し離れててな」

それだけ告げられ、ここを離れていく。
出会ってまだほんの少しの時間だが僕は彼の察知能力や身体能力を尊敬しているので、ここは素直に従おうと思う。
いそいそと先程まで休んでいた場所まで戻る。

「トンさんこれ…」

帰ってきたゾムさんが引き連れてきたのはトントンさんだった。
トントンさんは石の下にある宝箱を見て何故ここに？という表情を浮かべている。

「でもな、これ叩いてみ。全てを悟るで」

言われた通りに何個かの石を叩いている。
何があったのか。
ただの石だろう？僕が離れる意味はあったのかな？

「…これシルバーフィッシュ入っとんなぁ」
「この辺り大体そうやで」

シルバーフィッシュ？
銀色の魚かな？
随分と深刻そうに話しているけど、そんなに害があるものなのか。

「いや、成長した俺達ならまだ勝てる可能性が！」

そう、僕がここで休んでいる間に交易島を探索していた彼らはレベルというものが上がったらしい。
簡単に言うと強くなったのだとか。
いつの間にか僕の横にいたコネシマさんと鬱さんも混じり、戦闘態勢に入った。