27話 ページ29
えーと、どうしたのだろうか。
彼は額に手を当てて何かを呟いている。
クソ先輩、ド畜生、殺す、とかって物騒な単語は聞き取れた。
見た目に反して恐ろしいなこの人。
「…ちょっと失礼しますね」
言いたい事は全て吐き捨てられたのだろう、最後に大きなため息をついてちらりとこちらを見ては意を決したように手を伸ばしてくる。
え、何、殺されるの私！？
思わずギュッと強く目を瞑る。
一瞬寒くなる首元にまたふわりと戻る暖かさ。
先輩の匂いと共に香る別の匂い。
煙草と、もう1つはなんだ？いい匂い。
未だ首周りでゴソゴソと何かをされているようだがどうやら殺されはしないようだ。
手付きが優しい。
先輩のような乱暴というか雑というか、ガサツな触り方じゃない。
そっと目を開けば目の前にはライダースの胸元。
おおっと、思ったより近いぞ。
そうか、これは彼の匂いなんだ。
イケメンの周りはイケメンが集まるようで、更には匂いまでイケメンらしい。
「…これでいいんすかね？」
するりと離れていく彼の手と胸元にハッとする。
何をしたんだとマフラーを確認すると、どうやら巻き直してくれたらしい。
首の後ろには先輩がよくやってくれるのとはちょっと違う、だけど同じ結び方。
先輩はいつもギュッと力任せに縛るものだから結び目が固くて外すのも大変なのだがこの人がやってくれたそれはフワフワしてる。
優しさの違いってこんな所にも出るんだなぁ…としみじみ思っている場合ではないみたいだ。
『っ、わ！』
頭に何かを被せられ顎の下でカチンと音がする。
目を丸くしながら彼を見ればバイクに跨りゴーグルを装着するところで。
『はよ乗ってください。あんま遅くなるとあの人うるさいんで』
先程まで彼がしてたヘルメットを私に被せてくれたみたいだ。
慌てて慣れない手付きで後ろに乗り、どこに捕まればいいのか悩んでしまう。
「しっかり俺に捕まってください、振り落とされたくなければ」
物騒な言葉に考えるより先に彼のお腹に手を回し背中にしがみつく。
ギク、と小さく体を揺らしたと思ったが前を向いている上ゴーグルで彼の顔は見えず、行きますよという声とほぼ同時にブォンッとエンジンを唸らせバイクが動き出した。
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青い矛盾 - 題名に引かれて来ました！すごい面白かったです！！即続編に走りますε=(ﾉ･∀･)ﾂ (2019年4月15日 7時) (
レス) id: 10fd6c1f88 (このIDを非表示/違反報告)
nia(プロフ) - Toruko さん» 内容と共に、趣味で描いている絵の方までお褒めいただけるなんて嬉しさ至極の極みです(泣)ありがとうございます！ (2019年3月2日 23時) (レス) id: 2a4204c7ec (このIDを非表示/違反報告)
Toruko - 絵ステキって思って見てみたら内容もステキ。神ですか、好きです！！！！ (2019年3月2日 21時) (レス) id: 96e095864b (このIDを非表示/違反報告)
nia(プロフ) - とうふさん» あああありがとうございます！心無いけど優しいシマさんをどう描こうか毎回悩まされます…彼らしさが無くなってなければいいのですが(汗)よろしければこれからもうちのシッマさんをどうぞよろしくお願いします！ (2019年3月2日 14時) (レス) id: 2a4204c7ec (このIDを非表示/違反報告)
とうふ(プロフ) - えええシッマ最高すぎません...？？マフラーのくだり最高にきゅんきゅんしました大好きです....！！ (2019年3月2日 13時) (レス) id: 492d52f663 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：nia | 作成日時：2019年2月26日 13時
