12話 ページ14
少しして落ち着いたらしい先輩を近くのベンチに座らせて自販機に走り水を買い、手渡す。
まだ小さな声でさんきゅ…と受け取る先輩の顔色は良くなってはいるもののまだ青みが見える。
この先輩が私にお礼を言うなんて、本当に大丈夫なのだろうか。
「…お前要らん事考えとるやろ」
…いつも通りだ、大丈夫。
『この後どうするんですか？まさか本当にご飯食べるために呼んだんです？』
走ったとは言えすぐ目の前の自販機までの往復だ、先程までしゃがみ込んで動かずにいた体はさすがに冷えている。
帰るなら早く帰りたい。
「んー、せやなぁ……」
近くに何があったか思い出しているのだろう先輩はゆっくりと周囲を見渡す。
その視線が私を捉えたかと思えばそのまま動かなくなる。
なんだ？と首を傾げていれば、よいしょ、と立ち上がる先輩。
おっさんだわ。
向かう先を決めたのかと彼の動向をぼんやりと見つめていれば、ふわりと訪れる首元の暖かさと、先輩の匂い。
「体冷えたやろ巻いとけ。俺のせいで風邪引いたなんて言われるんも癪やからな」
私の首の後ろで余ったマフラーの端をギュッと縛ってよしと満足げに口の端を上げる。
そして一瞬見せた、柔らかい笑み。
「おっしゃ行くか！」
復活したらしい先輩は両手を上に伸ばして「んーっ！」とストレッチをして、そのまま歩を進めているのだろう。
「何しとんねんはよ来いやのろまぁ！」
私が着いてこない事に気付いたらしい先輩の悪態が少し遠くなって背中越しに聞こえるが、今は気にしてられない。
困るのだ、私の先輩は。
普段あんなに横暴で勝手で手に負えないくせに。
時折見せる優しい表情はいつになっても慣れない。
顔が良いから余計にだ。
私だって女の子だもん、イケメンにときめいてしまうのはしょうがないでしょ？
赤くなっているであろう顔を、私の首に巻いてある先輩の大きなマフラーに埋めて隠しつつ、先輩の元へと走る。
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青い矛盾 - 題名に引かれて来ました！すごい面白かったです！！即続編に走りますε=(ﾉ･∀･)ﾂ (2019年4月15日 7時) (
レス) id: 10fd6c1f88 (このIDを非表示/違反報告)
nia(プロフ) - Toruko さん» 内容と共に、趣味で描いている絵の方までお褒めいただけるなんて嬉しさ至極の極みです(泣)ありがとうございます！ (2019年3月2日 23時) (レス) id: 2a4204c7ec (このIDを非表示/違反報告)
Toruko - 絵ステキって思って見てみたら内容もステキ。神ですか、好きです！！！！ (2019年3月2日 21時) (レス) id: 96e095864b (このIDを非表示/違反報告)
nia(プロフ) - とうふさん» あああありがとうございます！心無いけど優しいシマさんをどう描こうか毎回悩まされます…彼らしさが無くなってなければいいのですが(汗)よろしければこれからもうちのシッマさんをどうぞよろしくお願いします！ (2019年3月2日 14時) (レス) id: 2a4204c7ec (このIDを非表示/違反報告)
とうふ(プロフ) - えええシッマ最高すぎません...？？マフラーのくだり最高にきゅんきゅんしました大好きです....！！ (2019年3月2日 13時) (レス) id: 492d52f663 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：nia | 作成日時：2019年2月26日 13時
