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side you
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「A」
呼ばれた声に振り向くとテンさんが立っていた。
もうヘアメイクは完璧で、近くにいるだけで圧倒されそうになる。
『どうしました？』
押し黙ったまま眉を下げて不安そうな彼の表情は、それだけで私の体温を奪っていく。
テンさんが悲しいと、私も悲しい。
いつだったかもこんなことがあったような気がするけど、あの時はどうしたんだっけ？どうやって彼の笑顔を取り戻したんだっけ。
『テンちゃん？』
そうだ、あの時もこうやって名前を呼んだんだ。練習室の中で2人、大好きなテンさんの曲を踊った時のこと。
名前を呼ぶと少しだけ表情が緩んだ気がした。
こうやって私の声に反応する彼を見ると、テンさんの感情を私が操っているような感覚になる。
勘違いしないように気をつけないと。
私の存在がテンさんの感情を揺さぶることなんてきっとない。
彼が好きだと言ってくれるのは、私を仲間として認めてくれている証だ。
向けられている好意は、私たちを別の関係にしようとしているわけじゃないのに。
いつだって勝手にときめいて勘違いしそうになるのは私だ。
TN「あのね」
ほんの少しのきっかけで、彼は笑ったり悲しんだりする。私のアイドルで、ヒーローでもあるテンさんが時折見せる等身大の姿は、拍子抜けするぐらい子供だ。
TN「ノナ」
子供だとは言ってみても、そんな姿さえ素敵だと思ってしまうから私はもう中毒なのかもしれない。
テンさんという人間の、私に見せてくれている部分全てが好きだ。それが彼のほんの一部だとしても、彼の存在を構築する要素だと思うと美しく感じる。
TN「こんなこと聞かれるの嫌かもなんだけど…」
遠慮がちな瞳がこちらをみている。
憧れの人との会話はたとえどんなに些細な内容だろうと私の体をめぐる栄養になると思う。大袈裟な表現かもしれないけれど、実際にそうなんだから仕方ない。
だから嫌なんてことはない。これだけは知っていてほしい。
『大丈夫です』
言葉というのはかなり難しいもので、いつも私の口から出るのはあまり柔らかいものではないという自覚がある。嫌じゃないという気持ちがちゃんと伝わってるかな。伝わっててほしいな。
TN「…あ、いや。セフニヒョンがAの宿舎の近くの公園で目撃情報あったらしいから。2人でいるところ撮られてたらどうしようって…」
『近くの公園で？そうなんですね。何かの撮影ですか？』
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柊(プロフ) - ももさん» ありがとうございます（ ; ; ）とても励みになります…！ (2023年1月21日 23時) (
レス) id: a5081d8636 (このIDを非表示/違反報告)
もも(プロフ) - 最初からイッキ読みしちゃいました！！めちゃめちゃ面白いです！ (2023年1月6日 16時) (レス) @page12 id: b796448ecc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：柊 | 作成日時：2022年10月21日 8時
