17 ページ17
.
結衣の家の玄関の前でチャリをとめると
後ろの重みが消え俺の右側に彼女が立つ。
廉「明日、朝ここで待っとって」
「え？」
廉「チャリないんやろ？買ってもらうまで乗せてったるわ」
「いや、そんなの悪いよ」
廉「ついでやん、同じとこ行くんやし。別に気にせんでええよ。」
「……ありがとう」
再び自転車に跨ると
サドルに足をかけ力を込める。
しかし少し進んだ自転車は
彼女の声に阻まれて
ブレーキをかけて振り返ると
口を噤んで真っ直ぐに
俺を見つめる姿があった。
結「あのさ、私も廉って呼んでいい？」
廉「あ、うん。別になんでもええよ。」
結「ありがとう。あの、じゃあ、また明日。」
廉「おん。じゃなー」
.
玄関のドアを開けて家の中に入ると
見慣れたローファーが並んでいるのを見て
あいつまた、、って溜息をつく。
「あ、廉おかえりー」
廉「おかえりーじゃないねん、仮にも人の部屋やぞ。寛ぎすぎや。」
「廉だって私の家で散々寛いでるんだからお互い様だよー」
何も言い返せずに床に腰を下ろすと
あ、そういえば、って思って
今日のことをざっくり話すと
みるみるAの顔が強ばっていく。
「はぁ？同じ学校だった？」
廉「うん。俺も知らんかってんけど、今日学校行ったらおった。」
「………」
廉「なんかおとなしそーな子かと思っとったら普通に話せるし意外とそうでもなかったわ」
「話したの？」
廉「うん、今日も一緒に帰ってきたし」
静かな空間。
何も言葉を発しないA。
「…っ………むり！」
かと思ったらいきなり大きな声を出すから
大袈裟に肩を揺らす。
「むり！私も廉の高校に転校する！」
廉「はぁ？」
「転校の手続きってどうしたらいいの！？」
廉「もーまた何をアホなことを (笑)」
冗談なのか本気なのか。
まるで分からないテンションで
馬鹿げたことを口にした彼女は
ジタバタと足をばたつかせて
ベッドの上で暴れ回っていた。
「私も何がなんでも廉と同じ学校に入学すればよかった」
今日海人が言っていた
当たり前じゃない、なんて言葉を思い出す。
でもほら。これが、俺の当たり前やった。
俺の隣にはいつもAがおって、
馬鹿言って笑い合って。
好きとか嫌いとか、そういうんちゃうくて。
なんか兄妹みたいな、そんな感じやった。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1777人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
しぃたん(プロフ) - 遠回りでも周りを傷つけても良いから最後は2人が結ばれて欲しい…です。泣。ちょっと平野君とくっ付くのが早かった…もう少し貫いて欲しかったってのが個人的な感想です。最後まで楽しみにしてます！！ (2021年6月20日 19時) (
レス) id: fbd6917c8c (このIDを非表示/違反報告)
みう(プロフ) - みさん» コメントありがとうございます＾＾もう下書きはすべて終えていてこれから徐々に公開していく予定ですので、これからも是非お付き合い頂けると幸いです！(；；) (2021年6月20日 0時) (レス) id: 3c79c161a1 (このIDを非表示/違反報告)
みう(プロフ) - yuka111117さん» はじめまして、コメントありがとうございます＾＾いつもお付き合い頂きありがとうございますとても嬉しいです。これからも是非ご愛読よろしくお願いいたします(；；) (2021年6月20日 0時) (レス) id: 3c79c161a1 (このIDを非表示/違反報告)
み - 廉くんの気持ちが全くよめなくて行動もずるくて苦しいですね…何で主人公を選ばないんだよっと怒りも湧いてきます笑 とにかく話がどう進んでいくのか楽しみです〜 (2021年6月19日 23時) (レス) id: 5885128d74 (このIDを非表示/違反報告)
yuka111117(プロフ) - 初めまして、みうさんの作品いつも読んでいます。結衣さん、無神経すぎて好きになれないですね。はやく廉と別れて欲しいです。 (2021年6月19日 23時) (レス) id: 153b5c7d92 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：みう
| 作成日時：2021年3月15日 19時
