…第肆幕… ページ7
「そう、…世界によっては許容範囲を越したりしていて無理な場合や
制限がきつくなってる世界も残念ながらあるし、世界渡り出来ない所も多少あるけどね。｣
「じゃあ質問、まず私が持ってるらしきその世界渡りの鍵に条件とか枷はあるの？｣
当然の質問だ、何か禁止事項があるなら先にはっきりと伝えて欲しい。
後からそれダメだから終わりね、とか死に至ります、とかあったら堪ったもんじゃない。
「この鍵には条件と枷の両方がある。
まず条件は、その身が半鬼であること、半鬼という言葉の意味自体は混血の鬼とそんなに変わらない。
けど、これの場合は羅刹のような吸血衝動、戦闘衝動などが付与された物だ。
もちろんその代わりに桁外れの高い戦闘能力が身につく。あそこで生きていくためには必要だろう？」
こちらも当然のように質問に答えを返してくる。だが一点引っかかる箇所があった
まるでこの神様、私の選ぶ世界をあらかじめ知っているような条件を出してくる。
いや、鍵そのものについていて選ぶ世界に関係のない条件、という可能性もあるんだけど。
「…まって、あそこで生きて行くためって。
まるで私が薄桜鬼の世界を選んで、それが決まってるみたいな言い方じゃない」
それに対しての青年の目は、違うのかい？と、ただ落ち着いた声で一言返してきた。
そうか、この青年はちゃんと神様なんだ。なんて、今更妙に納得してしまう。
「じゃあ、続けるよ。
次にこの鍵の枷。”想い”を告げられないこと、またはその感情を持たれないこと
そして何より、それに答えないこと。」
納得した様子を見届けると、続けて枷の内容を語る。
それは決して起こり得ないだろう、と誰もが答えそうなモノだった。
…しかし、”もしもそうなる可能性があるとしたら”。
可能性は何事においてもゼロではない。
他世界への渡航という、現実では100％あり得ないような事が目の前で起きている以上
あり得ない。なんて言葉を軽々しく使うわけにはいかないのだ。
「…もし、告げられたり、それに答えたりした場合は？」
「世界の主軸が狂うからね…その世界での君の存在が一から抹消されてまた時間が戻る」
消されて…元に戻る、一番世界にとって都合の良い結末か。無理やり存在をなかった事にすれば、世界の住人の記憶に異常が残る可能性が大きい、しかし時間そのものを戻してしまえばその可能性は低くなる。そして私という存在が消えて不都合が起こるならもう一度送り込めばいい。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 29人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
。 - 文才がすごいですね！引き込まれるような作品で、今まで見たことのない、新しいトリップものかなーと思いました。とても面白かったので、次の更新を楽しみにしています。 (2017年4月14日 16時) (
レス) id: f3711a96f0 (このIDを非表示/違反報告)
総ちゃん - 不思議な作品に釘付けでした！続きが気になります！更新頑張ってくださいね(*￣▽￣)ノ~~ ♪ (2016年10月5日 8時) (レス) id: 725f51c669 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：刹那 帝 | 作成日時：2013年6月1日 23時
