…第弐拾伍幕… ページ28
保護。少しその言葉に棘を感じたが、これ以上はどうしようもないだろう。とにかく、彼らにとって私は”殺さなければならない目撃者”から、”厄介な協力者”へと変わった。何か下手な事をすれば娘だろうが何だろうが問答無用で殺されてしまうだろうが、現状、死は確実なものではなくなった。
手放しに、とまではいかない状況だがとりあえず今は喜ぶべき、だよね？私。
「殺されずに済んで良かったね。…今の所は、だけど。」
「そうですね。…とりあえず、なんていうか…安心、しました。」
「今の状況をちゃあんとわかってて安心、何て言葉が出てくるなんて！
君ってもしかして、案外神経図太かったりする？」
「…こんな事にはなっちゃいましたけど、父様について手がかりが得られた訳ですし…
悪い事ばかりではなかったというか。」
一瞬固まりかけるものの、彼が伝えたい事は言葉そのままの意味ではないとすぐに思い直す。
彼の事が全く怖くないとまでは言わない。今だって何を考えてるのか解らないし。
でも今の彼は最初に会った時よりも純粋に楽しそうだった。これは多分、私に”君って面白いね”と伝えているのだ。
言葉だけ聞くと結構、いやかなり意地が悪い様に思えるが、案外悪い人ではないのかもしれない。
私の落ち着いた返事に心なしか満足そうにして沖田さんは肩をすくめた。
「本来であればここのような男所帯より、所司代や会津藩に預けてやりたいんだが…」
悩むように腕を組む近藤さん。ここに置く以外選択肢はないのだろう。というより他に預けるなんて選択肢を迷わず選べるようなら、最初から殺すか殺さないかで幹部会議を開く必要もなかったのではないだろうか？
当たり前にそうなってしまうのだろうと思っていたので、今更さして残念だとも感じなかった。
「不便があれば言うといい。その都度、可能な範囲で対処してやる」
「え？…あ、ありがとうございます」
まさかそこまで言ってもらえるような扱いになるとも思っていなかったので少し面食らってしまう。
もうこの場に先程までの殺伐とした空気は残っていないようだ。
「ま…まぁ、その。なんだ？女の子となりゃあ手厚く持てなさんといかんよな。」
「新八っつぁん、女の子に弱いもんなぁ…でも、だからって手のひら返すの早すぎ。」
「いいじゃねえか。これで屯所が華やかになると思えば、新八に限らず、はしゃぎたくもなるだろ」
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。 - 文才がすごいですね！引き込まれるような作品で、今まで見たことのない、新しいトリップものかなーと思いました。とても面白かったので、次の更新を楽しみにしています。 (2017年4月14日 16時) (
レス) id: f3711a96f0 (このIDを非表示/違反報告)
総ちゃん - 不思議な作品に釘付けでした！続きが気になります！更新頑張ってくださいね(*￣▽￣)ノ~~ ♪ (2016年10月5日 8時) (レス) id: 725f51c669 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：刹那 帝 | 作成日時：2013年6月1日 23時
