…第弐拾幕… ページ23
「白髪の…？やっぱり、あの場に浪士とウチの隊士以外にもう一人居たんだな」
あの場にもう一人居たという事よりも白髪の、という箇所に何か引っかかりを覚えたのか、土方さんは表情を歪める。その様子に口を挟むのはよろしくないのだろうと控えめながらも永倉さんが再度疑問を呈した。
「もっかい聞くけどよ。お前さん、どこまで見たんだ？」
「どこまで、って…」
言葉の意図を図りかね、そのまま聞き返す。
「えーっと、詰まりだな。その絡まれたっていう浪士とウチ隊士が斬り合ってんのを見たのか？それとも、浪士がただウチの隊士を斬り殺すのを見たのか？」
「いえ、その…浪士の、悲鳴が聞こえて」
昨日の今日だ、あの出来事は鮮明に思い出せてしまう。むせ返るような血の香り、暗闇で不気味に光る赤い瞳、狂ったような笑い声。肩が震えているのが自分でもわかった。無意識に目を伏せ、口元を覆ってしまう。
「…じゃ、ウチの隊士が浪士を斬り殺す場面に居合わせた訳ではないにしろ、殺したのは見ちゃった訳だな。そいで、その謎の人ってのが隊士を斬り殺した…と。」
「…はい。」
言葉に詰まった私の後を永倉さんが引き継いで語った。ああ、そうだ。私は全部見てしまっている。
「…やっぱり、殺すしかないんじゃないですか？このまま解放するっていうのも難しい話でしょうし。この子が誰にもこの事を話さないと約束をしたところで、破らない保証なんてない…
口封じするならそれが一番、でしょう？」
「…総司、あまり軽々しく物騒な事を言わんでくれ。お上の民を無闇に殺してなんとする。」
「そんな顔しないでくださいよ、今のはただの冗談です。」
近藤さんの言葉に、沖田さんは困ったように眉を下げる。
それはまるで父親に叱られた子供のようで、とても意外な反応だった。
「お前の冗談は冗談に聞こえない
…おい総司、今の言葉に照れる要素があったとはとても思えないが。」
微笑ましいのかどうとっていいのかわからない会話をよそに、私の処遇についての話が進んで行く。
家族同士の日常会話のような三人の雰囲気とは打って変わり、こちら側の会話は私にとってこの上なく重苦しいものだった。
「…しかし、なんとかならんかね。…まだこんな子供だろう？」
「私もなんとかしてあげたいとは思いますが、うっかり漏らされてしまっては一大事でしょう？」
井上さんの言葉に対して、他に方法が無い。と言わんばかりに山南さんは困ったように眉を寄せる。
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。 - 文才がすごいですね！引き込まれるような作品で、今まで見たことのない、新しいトリップものかなーと思いました。とても面白かったので、次の更新を楽しみにしています。 (2017年4月14日 16時) (
レス) id: f3711a96f0 (このIDを非表示/違反報告)
総ちゃん - 不思議な作品に釘付けでした！続きが気になります！更新頑張ってくださいね(*￣▽￣)ノ~~ ♪ (2016年10月5日 8時) (レス) id: 725f51c669 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：刹那 帝 | 作成日時：2013年6月1日 23時
