…第拾染話… ページ20
…何故、襲われなければならなかったのか？あの謎の人は何故私を助けてくれたのか？何故殺されずに屯所へ捕らえられているのか？
そもそもを
一体、何故だというのだろう。何故私がこんな目に合わねばならなかったのだろうか。
こんな事になるなら、やっぱり松本先生のお返事を待ってからこっちに来るべきだったんだ
居てもたっても居られなくて急ぐように京へ…いや、これについては何度も考えのだけれど。
その時、障子にすうっと人影が映る、誰か来たようだ。
今こうして生かされているからと言って、このまま殺されずにただ帰ってもいいよなんて甘い展開があるはずもない。昨夜、きっと私は見てはいけない物を見てしまった。それが偶然だろうがなんだろうが彼らには関係ないだろう
縛られた両腕が震えているのが自分でもわかった。
「ああ、もう起きていたかい。すまないね、手荒な真似をしてしまって…」
「…へ？ああ、はい…」
音を立てずに開いた障子の先には、予想に反して優しげなおじさまが居た
優しそうなその人は井上と名乗ると、こちらに対して申し訳なさそうに頭を掻く。身構えていた力はどこかへ抜けてしまった
「あ、あの。私…」
「ちょっと待ってくれるかい？ああ、やっぱり、跡が残っちゃってる。…今縄を緩めるから。」
「私、あの。」
また申し訳なさそうにして私を縛る縄をほどき始める井上さんにそう声をかける。
まさか縄を解くまでしてくれるとは全く思って居なかった。…もしかしたら、このまま帰れたりするんじゃないだろうか？
「この後どうなるんでしょう…？」
「…それは、うん。そうだねえ…そこについては今朝から幹部連中で話し合ってる。
とにかく、あんたが何を見て、あの場で何があったのかを確かめて置きたいって事になりはしたみたいだな。」
「そう、なんですか…。」
そんな淡い期待は少し歯切れの悪い返事にかき消されてしまう。
それは当たり前だ、自分でもさっきそんな甘い事は無いと納得して居たはずなのに。
促されるままに立ち上がり、軽く足元の埃を払う。
幹部連中で話し合ってる。つまり、今から私はその話し合いの場に出向かなければいけないのだろう。
噂はこっちに来るまでにも再三耳にした。聞いて来た話のままだとすれば、というよりも昨日の様子からしたって良い方向に転ぶ事はほぼないと言えるだろう。
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。 - 文才がすごいですね！引き込まれるような作品で、今まで見たことのない、新しいトリップものかなーと思いました。とても面白かったので、次の更新を楽しみにしています。 (2017年4月14日 16時) (
レス) id: f3711a96f0 (このIDを非表示/違反報告)
総ちゃん - 不思議な作品に釘付けでした！続きが気になります！更新頑張ってくださいね(*￣▽￣)ノ~~ ♪ (2016年10月5日 8時) (レス) id: 725f51c669 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：刹那 帝 | 作成日時：2013年6月1日 23時
