…第拾肆幕… ページ17
本当に、少し考えれば当たり前にわかる事だった。夢小説を読みすぎたのだろう
言わば余計な知識を持ちすぎて、見えずらくなっていたんだ。
それこそ可能性はいくつも考えられた、よく聞くのはその世界での魂の質量問題だったり
本当の世界に受け入れられてないとか、その辺の事が原因になって歪みが生じるとか。
今となっては色々と無駄な可能性を考えていた。
そうよね、”元々存在があるif”の世界でないにしろ、鍵を使ってちゃんと扉をくぐって来てるんだから”予想外の客人”ではあるかもしれないけど”招かれざる客”でも、”侵入者”でもないんだ。
その考えに至る頃には路地を抜けた町外れに出ていた
とは言っても、実際に歩いていた時間は長くても大体十五分くらいだろう、かなり遠くまで歩いて来たという訳でもないから、戻ろうと思えば戻れる。
…そう、現場から離れるためにここまで歩いて来たのは良いけど、行く所がある訳じゃないんだよな。人家に一晩泊めてくれとも言えない程夜も深いだろうし
事件の起こった日のその時間帯によそ者が人家に泊めてもらうなんて事したら、あの場を離れた意味もなくなるだろう。
目の前に広がっているのは鬱蒼とした竹藪、人気も無い。
とにかく町に戻るわけにもいかないので、町から逆方向の竹藪に向けてあぜ道を進んで行く。
使われてない小屋とかあればまだ雨風しのげるから良いんだけど…。
いや、千鶴ちゃんが尋問受ける時晴れてたんだから雨は降らないか。私が来たからといって、天候が変わる要素はないでしょう。
そこから五、六分程歩いたろうか。建物が見えてくる様子もなく、体力を浪費するなら早々と野宿に切り替えようか…と諦めが濃くなった頃、竹藪の奥に建築物のようなモノが見えた。
ガサガサと道跡を残さないよう気をつけながら竹藪の中に踏み入ると、それは祠の様な小さな小屋
だった。これは…運を持ってるって事なのかなぁ、まさか本当に見つかるとは。
「神様の祠とか、神聖なものかもしれないけれど、少々お借りします。」
木造の小さな階段を軋ませながら両開きの扉を開けた。
宿が見つけられた安堵からか、くぅっとお腹が物欲しそうに鳴いた気がするが
今それに構っていられる余裕など、私は持ち合わせていない。
「けほっ…空気悪…」
扉を開けると、ぶわっと埃臭い空気が勢い込んで襲ってきた。
長年放置されていたのだろう。外見から察してはいたが、手入れのされている様子は全くない。
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。 - 文才がすごいですね！引き込まれるような作品で、今まで見たことのない、新しいトリップものかなーと思いました。とても面白かったので、次の更新を楽しみにしています。 (2017年4月14日 16時) (
レス) id: f3711a96f0 (このIDを非表示/違反報告)
総ちゃん - 不思議な作品に釘付けでした！続きが気になります！更新頑張ってくださいね(*￣▽￣)ノ~~ ♪ (2016年10月5日 8時) (レス) id: 725f51c669 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：刹那 帝 | 作成日時：2013年6月1日 23時
