…第捌幕… ページ11
―――――――
｢………っ｣
花弁に埋め尽くされていた視界が晴れる。
暖かかった空気から一変して、立ち入るものを拒むような、冷たく刺す風を肌に感じる。
どこか見覚えのある、暗い路地だった。
夜の様だが、月明かりに照らされていて辺りははっきりと見渡す事ができる。
そう、明るい。…差し当たっての心配事はないのだが、心がざわつく。
先程のお姉さんは何だったのか。心配事というか、謎なのはそれくらいだ。
しかしもうここは先程の場所では無いし、多分もう、会う事は出来ない。直感的にそう感じる。
…まぁ、会う必要も無いのかもしれないけど。
とにかく今は現状把握に努めなければ。ここはどこで、私はどういう状況なのか。
知る事でこれからの対策も変わって来るだろう。
パッと確認して見て、服が部屋着から黒い着物(着流し？)に変わっている。まずこれが大きな違い。それに加えて、懐に短刀が忍ばせてある様だった。
…これを使えって事なのか？
｢…いやに準備がいいな、怪しまれる事が少なくて良いだろうけども。｣
現代の服装だったら街を歩くだけでも怪しまれるし
最悪事情も聞かずに切り捨て…なんて事になったら。
そこまでが綺麗に想像出来てしまうのが恐ろしい。
そんな事で終わりにしちゃ堪らない、もし殺されるにしたって不知火さんとかがいい。
…ああ、それだと鉄砲だから余計死ににくい気がする。
いやいやいや、今はそんな事より今後どうするかを考えなければ。
｢あ、忘れる所だった｣
手に鍵を握りっぱなしだった事を思い出し、ネックレスとして首に付けておく。
長めのチェーンなので、前をしっかりと合わせておけば外からは見えない。
流石にこれは、失くすとまずいでしょう。
とにかく、今は夜だ。という事は、どこかで一泊しなきゃいけない訳で。
でも空気的にもう夜中だろうし、この時代なら完全に町民の皆様眠ってらっしゃるでしょうから
宿も無理だし、それ以前にお金なんて持ってないんだけど。
初日から新撰組にお邪魔しにいくなんて無理だろうし、地理もわからんし
前提条件ここが京なのかもまだわかってないし…。
でも着物だったり、刀はないにしろ短刀だったり。この準備の良さをみる限りここ、京と見てほぼ間違いないとは思うんだけどね。
ある程度の事前準備はしておいたよ、ここからは君次第だから頑張ってね。
そういう意図を感じる。お膳立てしてもらったなら、やらなきゃなぁ。状況のせいにはできない。
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。 - 文才がすごいですね！引き込まれるような作品で、今まで見たことのない、新しいトリップものかなーと思いました。とても面白かったので、次の更新を楽しみにしています。 (2017年4月14日 16時) (
レス) id: f3711a96f0 (このIDを非表示/違反報告)
総ちゃん - 不思議な作品に釘付けでした！続きが気になります！更新頑張ってくださいね(*￣▽￣)ノ~~ ♪ (2016年10月5日 8時) (レス) id: 725f51c669 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：刹那 帝 | 作成日時：2013年6月1日 23時
