8話 ページ8
り「今度皆で温水プール行くからさ、おいでよ」
「また急ですね」
り「来るでしょ?」
行きますけど!なんか手玉に取られてません?気のせい?
そんな事より、包まれた右手が熱くて手汗が心配。少しだけ手を緩めると、先輩の握る力が少しだけ強くなった。
り「離さんよ?」
「いや、違うんです!その、手汗が、気になって…」
恥ずかしい。なんか緊張して、上手く話せない。心臓はなり止むことを知らなくて、福尾先輩に聞こえそう。
り「全然平気。大丈夫だよ」
「それは良かったです…」
り「ふふ、顔真っ赤だよ?」
空いてる方の手でばっと顔を覆う。ダメダメ、照れてるとか思われたら恥ずかしさで失神する。
り「嘘だけどね」
「なっ、」
り「あー面白い笑」
なんなんだ、この人はほんとに。ほんとに!
振り回されて、でも嫌じゃないのが悔しくて、いつまでも続いて欲しいって思う自分がいる。
さりげなく道路側を歩いてくれる先輩。イケメンだ、ネタとかじゃなくて、ほんとにかっこいいと思うの。
「先輩は、どんな子がタイプとかないんですか」
り「え、急に?笑」
「いやその、何となく…」
ぼーっとしてたら質問の意味を深く考えてなかった。これじゃまるで、先輩の好みに近づきたいみたいじゃん。そうなんだけど。
先輩はぶつぶつ言いながら考えて、ちらりとこちらを見た。
り「…Aの髪型、いいよね」
「へ?」
り「めっちゃ似合ってると思う、可愛い」
しれっと可愛いとか言われて、ボッと顔が熱くなる。毛先を少し摘んで、この髪型にしてて良かった、なんて思った。
「それは…どうも」
り「また赤くなった笑」
「またって…え、さっきの嘘じゃ無かったんですか!?」
り「あ、バレた?笑」
福尾先輩はやけに楽しそうで、ずっとニコニコしてる。その理由は分からないけど、つられて私まで笑顔になる。
先輩の手の力が、少しだけ強くなった気がした。
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かのい(プロフ) - じつさん» ありがとうございます! (2019年6月8日 10時) (レス) id: 1702f55027 (このIDを非表示/違反報告)
じつ(プロフ) - かのいさん» 固定になっていましたか!申し訳ないです、直ぐに修正させていただきます、いつもありがとうございます! (2019年6月8日 7時) (レス) id: 886d351a0b (このIDを非表示/違反報告)
かのい(プロフ) - めちゃくちゃキュンキュンします!名前は固定なんですか?できれば固定じゃない方がいいです… (2019年6月8日 0時) (レス) id: 1702f55027 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:じつ | 作成日時:2019年4月23日 22時