7話 ページ7
明日からの三連休のせいなのか、今日は午前授業。放課後はあっという間にやって来るわけで。
朝の話は夢だったんじゃないかとか思いながら教室で一人、先輩を待つ。
廊下側に座って、今か今かと窓を覗いていると、扉が開く音がしてハッと前を向く。入ってきたのは福尾先輩…では無く、他の誰かだった。
「えっと…?」
?「あー…Aってあんた?」
「あ、Aです」
顔の濃いその人は鈴木先輩というらしい。あぁ、朝福尾先輩が言ってた人か。なんかツンツンしてるけど、ほんとに私は場違いにならないんだろうか。不安だ。
としみつ「皆待ってるから、行こ」
「えっ、はい」
手首を掴まれてそのまま教室を出る。思ったより痛くなくて、特に抵抗することもなく歩いく。下駄箱まで行くと、既に先輩達が立っていた。
「ごめんなさい、お待たせして」
て「いいのいいの!てかおい!としみつ、何手取ってんの!」
と「ばっ!んなの意味ねーわ!」
て「俺のAちゃんやぞ!」
「違います」
て「つめたぁ!」
ゲラゲラ笑う二人をよそに、福尾先輩は私の手首を引いて歩き出した。まるで、さっき鈴木先輩にされたように。
「…あの?」
り「…としみつに、掴まれたの?」
「いや、別にそんな」
り「答えて」
いつもと全然違う言い方。怒ってるみたいな、でも悲しそうな目。なんで、そんな顔するの。期待しちゃいそうだけど、今は恐怖の方が大きくて。謝んないと。やだ、嫌われたくない。
「手首を、取られて、」
り「!、 違うんよ、ごめんね」
顔に恐怖が出てたのか、なんでかは分からんけど、先輩はいつも通りに戻った。
代わりに私の手首を離して、私の右手が左手に包まれる。
「えっ!ちょっと、」
り「嫌?」
「そういう事じゃなくて!」
嫌でも離さないけどね。
先輩は笑って、止まっていた足を進めた。
「…タラシって思われますよ」
り「俺普段はしないよ?」
「あーもうほんとに…」
横で爆笑してるこの先輩は、ほんとにタラシじゃないんだろうか。こんなとこ見られたら女子軍が黙ってないだろうな、怖いわ。
手を離せない私も、同罪かも。
-
202人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
かのい(プロフ) - じつさん» ありがとうございます! (2019年6月8日 10時) (レス) id: 1702f55027 (このIDを非表示/違反報告)
じつ(プロフ) - かのいさん» 固定になっていましたか!申し訳ないです、直ぐに修正させていただきます、いつもありがとうございます! (2019年6月8日 7時) (レス) id: 886d351a0b (このIDを非表示/違反報告)
かのい(プロフ) - めちゃくちゃキュンキュンします!名前は固定なんですか?できれば固定じゃない方がいいです… (2019年6月8日 0時) (レス) id: 1702f55027 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:じつ | 作成日時:2019年4月23日 22時