18話 ページ18
り「Aは皆に報告したい？」
「先輩たちには言っておいた方が……」
り「うん、そうしよっか」
プールサイドに並んで腰掛ける。遠くで大野先輩達がふざけあってるのを見ながら私は答えた。
り「めちゃくちゃ緊張した……」
「え、でも分かってたんですよね」
り「いざってなるとやっぱりね(笑)」
先輩はそう言って私の手を握った。急なスキンシップに思わずドキッとなる。
「……そう、ですか」
り「ふふ、声裏返ってるよ？」
私がこういうのに疎いのを知ってる上で、先輩は尚も私の手をにぎにぎとして離さない。先輩の顔を見ると緊張で喋れなくなりそうで、プールの水をずっと眺めていた。
手の温もりを感じなくなって顔を上げると、スマホをこちらにむける先輩。しっかり防水ケースにまで入れてらっしゃる。
「……また急に」
り「笑ってよ」
「やです」
り「先輩命令です」
そう言われてしまえば返す言葉は無い。一人で写るのってなんか……恥ずかしいんよね、未だに。
でも相手が先輩だからか、不思議と嫌では無かった。恥ずかしいけど。
よっぽど惚れ込んでるんだなって思って、自然と口角が上がる。
り「ふふ、いい笑顔」
「……先輩は写らないんですか？」
り「え、俺も？」
単純な希望だった。好きな人とツーショット。撮りたくない女子がいるわけない。
先輩に体を寄せて、先輩のカメラを内カメラにして画角に収まる。
「……ダメですか？」
り「いや、なんか幸せだなーって」
撮ろっかって笑って、先輩はシャッターを押した。開いてもらったギャラリーには、微笑む福尾先輩とぎこちない笑顔を浮かべる私。
緊張した笑顔がおかしくて、でもそれさえも嬉しくて思わず笑みが零れる。
り「緊張してるやん笑」
「まぁ……いつか慣れます」
り「ふふ、送っとくね」
他愛もない話。先輩となら幸せで、あっという間に時間は過ぎていく。私は先輩みたいに顔が広い訳でもないし、人気者とかでもない。口数はどちらかと言うと少なくて、気持ちを素直に伝えるのも苦手。
でも福尾先輩は優しく微笑んでくれて、こんな私を好きって言ってくれて、それだけで心は満たされていく。
私って重症かもな。
誰に言うわけでもなく、心の中で密かに思った。
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かのい(プロフ) - じつさん» ありがとうございます！ (2019年6月8日 10時) (
レス) id: 1702f55027 (このIDを非表示/違反報告)
じつ(プロフ) - かのいさん» 固定になっていましたか！申し訳ないです、直ぐに修正させていただきます、いつもありがとうございます！ (2019年6月8日 7時) (レス) id: 886d351a0b (このIDを非表示/違反報告)
かのい(プロフ) - めちゃくちゃキュンキュンします！名前は固定なんですか？できれば固定じゃない方がいいです… (2019年6月8日 0時) (レス) id: 1702f55027 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：じつ | 作成日時：2019年4月23日 22時
