16話 ページ16
「わ、福尾先輩だ」
り「はは、福尾先輩ですよ」
よっと言いながらプールサイドに腰掛けて、私を見てニコニコ笑う先輩。私はといえば、プールサイドの傍で脚を蹴りながらゆらゆらと揺れていた。
り「どう？楽し？」
「楽しいですよ、めちゃくちゃ」
元々私は素直に言葉を話せない人で、今日だって、ほんとにほんとに楽しいのに、こんな言い方、自分でもぶっきらぼうに聞こえて嫌になる。
でも目の前の福尾先輩や小柳津先輩は、私の言葉にうんうんと頷いてくれる。まだあまり話していないけど、他の2人とざわくんも同じ雰囲気を感じた。
り「良いね、その水着」
「…先輩のその言葉に何人が落ちたのか」
り「えー、ほんとに可愛いと思ってるよ？」
可愛い
さらっと言われたその言葉にぼっと顔が熱くなる。顔を見られたくなくて背を向けたその時、視界が大きく回った。
「わっ」
り「ちょっ」
大きな水音と共に、福尾先輩の腕に包まれる。コケるかと思ってドキドキしたけど、今は別のドキドキでそれどころじゃない。
り「滑ってコケるとかほんとに…ふっ、あははっ！」
私の肩に腕を回しながら、先輩はおかしそうに笑った。最初こそ何も考えられなかったけど、笑う先輩につられて、私も自然に笑みが零れる。
「ふ、びっくりした、あははっ」
り「もうほんとに、ドジすぎ、ふふ」
一通り笑って、先輩は私から手を離した。当たり前のことなのに、何だか寂しくて、でも顔には出ないように必死に言葉を並べる。
「ありがとうございます、助けてくれて」
り「んーん、全然」
り「ねぇ、A、」
名前を呼ばれて顔を上げれば、いつになく真剣な先輩。その目を見て、もしかして、って思ってしまう。期待して、その目に吸い込まれそうになる。
「なん、ですか？」
うわずりそうになる声を我慢して、先輩の返事を待つ。福尾先輩はしばらく悩む素振りを見せて、それからふっと笑った。
り「そんなに堅くなる必要、ないか」
り「A勘良いんだから、気づいてたんじゃない？(笑)」
「そんなの、焦らしですよ…」
り「んー、ホントは文化祭で言うつもりだったんだけど」
必死になって、期待する心を抑える。だってもし、全然勘違いだったら、浮かれてるだけだったら、期待した分ショックは大きくなるでしょ？でも、もしかしたらって思ってしまうんだ。
り「好きだから、付き合って欲しいんだ」
頬に温かいものが伝った、気がした。
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かのい(プロフ) - じつさん» ありがとうございます！ (2019年6月8日 10時) (
レス) id: 1702f55027 (このIDを非表示/違反報告)
じつ(プロフ) - かのいさん» 固定になっていましたか！申し訳ないです、直ぐに修正させていただきます、いつもありがとうございます！ (2019年6月8日 7時) (レス) id: 886d351a0b (このIDを非表示/違反報告)
かのい(プロフ) - めちゃくちゃキュンキュンします！名前は固定なんですか？できれば固定じゃない方がいいです… (2019年6月8日 0時) (レス) id: 1702f55027 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：じつ | 作成日時：2019年4月23日 22時
