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35.ブラック? ページ37

此の時、私は直ぐ逃げ出せばよかったのだろう。
咄嗟に塵箱の影に隠れたが、意味はなかった。
彼は私の気配を察したのか、すぐさま顔を上げる。

「誰だァ?」

流石マフィアという程の殺気。
観念し、隠れるのを止めて彼の前迄出る。

「おはようございます中也さん。
夜の仕事じゃ無かったんですか?残業ですかね。
随分ブラックな会社ですね……お疲れ様です」

「煩ェな。
マフィアにブラックもあるかよ」

「確かにそうですね」

軽く溜息をつきながら云われた。
その様子がどうも可笑しく、クスクスと笑う。

「手前ェは太宰のとこの餓鬼か。」

「餓鬼はやめて下さい。
じゃあ、お仕事中失礼しました」

中也さんに背を向け、来た道を戻る。
然し、簡単には帰してくれそうも無かった。

「おい。俺が簡単に帰すと思うか?」

「思っては無いですね。でも帰りたいです
未だ仔猫撫でてないんで」

「諦めるんだな。手前を捕まえろっていう首領からの命令が出てるからなァ
……仔猫って、幼児かよ」

「見た目は幼女ですよ」

へらっと笑ってみせる
その様子に中也さんは舌打ちし、汚く広がった死体を踏み乍此方へと歩いてきた。

「まァ、何を云おうと手前に拒否権は無い
大人しく来てもらおうか。」

中也さんが私に手を伸ばす。
身構えた、その時__

ぐぅー……

と、私の腹の虫が鳴いた。
そういえば朝食食べてないや、と今更乍に気が付いた
そんな私の様子を見て、中也さんはハッと何かに気が付いた様子で聞いてきた。

「……手前、どれくらい食べて無いんだ?」

「捕まった時からですかね」

「はァ!?」

訳の分からない様子だ。
中也さんは私の腕を強く掴むと、引きずる様にしてポートマフィアビルとは反対方向に歩き出した。

「マフィアに行かないんですか?」

「黙ってろ。
此れから拷問するって云うのに餓死されたら堪んねェからな」

いや、そんな簡単には死にませんけどね。
何ていう事を云うのをはやめておいた。若しかしたら逃げる好機が増えるかもしれないし。

そのまま何も言うこと無く、私は引きずられ乍何処かへと連れて行かれた。




そして連れて行かれたのは……如何にも高級そうなレストランだった。
前世でもこんな所来た事ない。

「ご予約のお客様でしょうか?
予約されていない場合は、2ヶ月後になりますが……」

「中原だと此処の店長に伝えろ」

店員さんは不思議そうな顔で返事をし、奥へと入って行った。
ポートマフィアの傘下の店だったのか。

36.悪戯→←34.再び



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月城捺樹(プロフ) - 紅夏さん» 有難う御座います!更新させていただきました! (2018年5月14日 16時) (レス) id: b10180abe7 (このIDを非表示/違反報告)
紅夏(プロフ) - 面白かったです!これからも更新頑張ってください! (2018年5月1日 23時) (レス) id: 6f15b8d456 (このIDを非表示/違反報告)
月城捺樹(プロフ) - 1つ1つ返せなくてすみません!沢山の方から期待して頂いてとても嬉しいです。遅くなりましたが更新させていただきました。 (2018年2月24日 21時) (レス) id: b10180abe7 (このIDを非表示/違反報告)
みっく - とても面白いです!応援してます、更新期待してます (2018年2月21日 18時) (レス) id: c025c89ca4 (このIDを非表示/違反報告)
蛍原(プロフ) - このような内容の作品大好きです! 次の話を期待して待機してます(●´ω`●) (2018年2月19日 23時) (レス) id: 5ee87af96c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:月城捺樹 | 作者ホームページ:   
作成日時:2017年10月14日 18時

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