検索窓
今日:40 hit、昨日:866 hit、合計:661,079 hit

Ep.39「はじめまして呪術界」 ページ43

 
 
 
 
 
 
「転校生を怖がらせるなよ。クズども」

「えー。でも俺、弱いヤツ嫌いなんだよね」

「心外だな、硝子。私はそんなことしないさ」

「お前ら一旦黙れ」




 ………とても、とても冷めた空気を感じる。

 私は扉の前に立ち尽くした。



 夜我先生に連絡を入れてから約一ヶ月。東京都立呪術高等専門学校への私の転校が決まった。



 そもそも私と夜我先生が知り合ったのは、真冬の夜の塾帰りだった。人気のない道の電灯の下に不気味な"化け物"を発見して、その場に立ち尽くしていた私に声をかけてくれたのだ。「君は、あの呪霊が見えるのか?」と。

 「ジュレイ?なんだそれは」と私は頭を捻ったのだが、一方でとても驚いた。人生で初めて同じ化け物が見える人に出会ったのだ。運命だと思った。



 そこで軽く教えてもらった。あの化け物は、"呪霊"というもので、人の負の感情から生まれたものなのだと。そして、それをいとも簡単に倒して消して見せた夜我先生を見て、私は初めて知った。

 あ、この化け物、倒せるんだ……。



 それから四ヶ月。エスカレーター式でとっくに高校入学を済ませた中途半端な時期に連絡をした私を、夜我先生はなんとも大らかな器量で受け止めてくれた。といっても、呪術師は万年人手不足でなんちゃらかんちゃら、と話していたので、人手が増えるのが単に嬉しいだけかもしれない。


 
 そして現在、転校手続きも寮への引っ越しも完了したところで、私は学校の教室前で立ち尽くした。


 まずこの学校、えらい山奥にある。そして校舎が超和風。あとめちゃくちゃ敷地が広い。どんだけ生徒が多いのか、と思えば同級生は三人だと。二度聞きして、三度聞して、四度聞して、五回目を聞こうとしたあたりでやめた。どうやら生徒数が異様に少ないらしい。ヤバい、人間関係失敗できないじゃん。


 新しくもらった黒い制服に袖を通した時は、少しドキドキと期待さえしていたのに、急に緊張してきた。



 そう思ったところで感じたのである。非常に冷めた空気を。

 ……こんなんでやってけるか?




「宮下、入ってこい」




 恐る恐る、扉……というか襖に手をかけた。古そうな見た目で力を込めたのとは裏腹に、扉はスルスルと引けた。
 
 
 
 

Ep.40→←Ep.38



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (677 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
2190人がお気に入り
設定タグ:名探偵コナン , 呪術廻戦 , 松田陣平   
作品ジャンル:恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

やなり(プロフ) - jenniferwu3429さん» 原作は辛すぎますよね……。 (8月13日 18時) (レス) id: 38128c49d7 (このIDを非表示/違反報告)
jenniferwu3429(プロフ) - この作品を読む度に禅院姉妹のことを思い出すな (7月13日 3時) (レス) @page4 id: 426e07a7b9 (このIDを非表示/違反報告)
やなり(プロフ) - RIOさん» お返事遅くなってしまいすみません!コメントありがとうございます!こうしてコメントを、いただくと筆が乗ってしまう単純なわたし……(^-^; 少しづつにはなりますが更新していくので、お付き合いいただけるとうれしいですm(_ _)m (2022年5月28日 9時) (レス) id: 38128c49d7 (このIDを非表示/違反報告)
RIO - 早く続き読みたいです! (2022年5月24日 6時) (レス) @page11 id: 759836d8d0 (このIDを非表示/違反報告)
やなり(プロフ) - sou様、こ、光栄なお言葉をありがとうございます……!あらかじめ書き溜めた分はコツコツ更新していこうと思っています。完結まで私の妄想に付き合っていただけるとうれしいです(*´꒳`*)。ご期待に添えるように頑張りますね!! (2022年5月22日 9時) (レス) id: 38128c49d7 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:やなり | 作成日時:2022年5月21日 16時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。