Ep.37 ページ41
学年が上がるにつれて、陣平くんはどんどんカッコ良くなっていった。幼馴染みの贔屓目とかじゃなく、本当に。告白の呼び出し回数やラブレターが年々増えてゆくらしい。これは研二君情報だ。
バレンタインデーに靴箱からチョコが雪崩を起こして爆笑したとかいう情報も教えてくれた。え、何それ私も見たかった。
そして研二君は「ま、俺も靴箱覗くと毎年雪崩起きるんだけどぉ」とクソほどどうでもいい情報も教えてくれた。クソほどどうでもいい。研二君、軟派だけどモテるもんね。知ってる。
それは高一のゴールデンウィーク、街に映画を見に行った時のことだった。
…………あれ、陣平くんじゃない?
私は立ち止まった。人の混み合う駅前のよくわからないオブジェの前、そこに陣平くんがいたのだ。
………逆ナンされている。それも、おそらく女子大生二人に。
高校生になった陣平くんは、さらに大人っぽくなっていたので、然もありなん。しかしあの通り性格に難ありで、彼に人睨みされた女子は大抵萎縮して引いてしまうのだそう。(By 研二君情報)
しかし、派手派手な女子大生の彼女達二人は引く気配が全くない。こっちからは陣平くんが人を殺しそうな目をしているのが見えているというのに。ヤバいぞあの目は。
「………私の兄に、何か用ですか?」
ツカツカと歩みを進め、陣平くんの手を引いた。陣平くんは一瞬目を見開いて、すぐに私に合わせてくれた。とにかく彼女達が鬱陶しかったんだろう。
「おー。つーわけで妹が来たんでじゃーな」
「ちょっ、待ってよ!」
静止の声に効果があるはずもなく、陣平くんは歩き出した。しばらく歩いたところで、私は手を離す。その時、無意識に腕を組んでいた事に気付いて、後になって恥ずかしさが湧き上がってきた。
「助かったわ、A。ありがとな」
「んーん。いいよ」
陣平くんを逆ナンから救い出すのは、実は初めてではなかった。今回でかれこれ六回目くらいだ。
初めて逆ナンから救い出した時、自然と「妹だ」と嘘をついてしまって、そのまま妹のフリをしている。
「彼女」って、この時くらい嘘をつけたらいいのに今更変えられなくて、少しだけ、後悔している。
「この後予定あるか?」
「え?あーっと、映画見に行く」
「一人で?」
「一人じゃわるいですか」
「なんでキレんだよ………。何の映画?」
2189人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「名探偵コナン」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
やなり(プロフ) - jenniferwu3429さん» 原作は辛すぎますよね……。 (8月13日 18時) (レス) id: 38128c49d7 (このIDを非表示/違反報告)
jenniferwu3429(プロフ) - この作品を読む度に禅院姉妹のことを思い出すな (7月13日 3時) (レス) @page4 id: 426e07a7b9 (このIDを非表示/違反報告)
やなり(プロフ) - RIOさん» お返事遅くなってしまいすみません!コメントありがとうございます!こうしてコメントを、いただくと筆が乗ってしまう単純なわたし……(^-^; 少しづつにはなりますが更新していくので、お付き合いいただけるとうれしいですm(_ _)m (2022年5月28日 9時) (レス) id: 38128c49d7 (このIDを非表示/違反報告)
RIO - 早く続き読みたいです! (2022年5月24日 6時) (レス) @page11 id: 759836d8d0 (このIDを非表示/違反報告)
やなり(プロフ) - sou様、こ、光栄なお言葉をありがとうございます……!あらかじめ書き溜めた分はコツコツ更新していこうと思っています。完結まで私の妄想に付き合っていただけるとうれしいです(*´꒳`*)。ご期待に添えるように頑張りますね!! (2022年5月22日 9時) (レス) id: 38128c49d7 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:やなり | 作成日時:2022年5月21日 16時