Ep.2 ページ5
……行っていた、んだけど。
カチャ、と奥の方にあった扉が開いて、中からその人が出てきたのを、わたしはバッチリ見てしまった。
「いや、多分この場に犯人はいねぇぜ。目暮警部」
……こういうのフラグって言うんだっけ。
聞き慣れた声がスッと耳に届いて、私は体を硬直させた。音源の方向を怖いもの見たさで確かめたい気持ちするし、したくない気もする。
………でも、やっぱり確かめたくて、そろりそろりと目を向けた―――ら。
やっぱり。
「どういうことだね松田くん!」
「遺体の側頭部に――――」
室内ほぼ全ての視線を彼は一斉に攫っていった。みんなが推理に聞き入る中、私はどさくさに紛れて彼を―――陣平くんを見つめた。
黒いサングラス、喪服かよと突っ込みたくなるスーッ、くるくる天パ。うん変わっていない。
……生きてた。
四年前と全く変わらない姿に、安心させられて、ちょっとだけ、涙が出そうになった。こんな場所で泣いたりしないけど……うそ、ちょっとうるってきた。
警察という職は、明日を約束できない仕事だ。いつどこで市民のために命を賭すことになるのか分からない。でも、誰かを守るって、そういうことなんだろうな、とも思う。
わたしは呪術師で、術師だって、同じだし。
「じゃあ、この事件は……」
「あぁ、まだ終わっちゃいねぇってことだ」
うん、だよね…………………うん………うん?
なんだか私が感慨深い思いにさせられている間に、事件は続くことが判明していた。
事件は続くよどこまでも……需要がないな。早く終わってくれ。
というか、視界の右端にいるスーツのおじさん、確か最近テレビで名探偵だって持ち上げられている毛利小五郎じゃない……?え、うそ、有名人⁉︎ 握手してもらう……?うーん、でも握手で何かバレたりしたらマズイよね。ホームズじゃないけど、なんてったって相手はあのダンディな名探偵毛利小五郎………
「わたしに任せていただければ!こんな事件ちょちょいのちょいで解決ですよ!!ガッハッハッ!!」
………いや、人違いだったようだ。
毛利小五郎があんな人間なわけないじゃないか。あんなパッパラパーでボケナスみたいな人間なわけないじゃないか。わたしは信じないかんな、絶対信じないかんな、橋○かーんな!!!
「よぉ。久しぶりだな、A」
………えへへ…現実逃避です……。
Ep.3・コナンside→←Ep.1「そこは呪霊の魔窟である」
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やなり(プロフ) - jenniferwu3429さん» 原作は辛すぎますよね……。 (8月13日 18時) (レス) id: 38128c49d7 (このIDを非表示/違反報告)
jenniferwu3429(プロフ) - この作品を読む度に禅院姉妹のことを思い出すな (7月13日 3時) (レス) @page4 id: 426e07a7b9 (このIDを非表示/違反報告)
やなり(プロフ) - RIOさん» お返事遅くなってしまいすみません!コメントありがとうございます!こうしてコメントを、いただくと筆が乗ってしまう単純なわたし……(^-^; 少しづつにはなりますが更新していくので、お付き合いいただけるとうれしいですm(_ _)m (2022年5月28日 9時) (レス) id: 38128c49d7 (このIDを非表示/違反報告)
RIO - 早く続き読みたいです! (2022年5月24日 6時) (レス) @page11 id: 759836d8d0 (このIDを非表示/違反報告)
やなり(プロフ) - sou様、こ、光栄なお言葉をありがとうございます……!あらかじめ書き溜めた分はコツコツ更新していこうと思っています。完結まで私の妄想に付き合っていただけるとうれしいです(*´꒳`*)。ご期待に添えるように頑張りますね!! (2022年5月22日 9時) (レス) id: 38128c49d7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:やなり | 作成日時:2022年5月21日 16時