Ep.20 ページ23
一方、私はスマホに目を向けた。スクロールする画面に映し出された、噂のイケメン店員、アムピ、安室さんについてのことが書かれたレビューだ。金髪、褐色、碧眼。目の前の彼で間違いない。
私はもう一度、安室さんを見た。そして項垂れる。確信したのだ。世の中にこんな稀有で整った容姿のヤツが瓜二つ存在してたまるか。絶対同一人物だろ。
『今ポアロに行ったら、面白いもんが見られるかもしれねぇな』
『面白いもの?』
私は数十分前に、陣平くんと交わした会話を思い出した。あー……面白いものってコレのことか。
カウンターテーブルを叩いて突っ伏したい衝動に駆られた。でもそんなこといきなりしたら、まごうことなく即座に変人認定である。ぐっと堪えた。
っていうか、多分これ、降谷さんの所属から考えると潜入捜査だよね。陣平くんもそれはわかってるよね。だって面白いって言ってたし。
…………性格悪いよ、陣平くん。
そもそも、私が降谷さんを何故知っているのかと言うと、警察学校時代に陣平くんの幼馴染みとして顔を合わせたことがあるからだ。向こうが覚えているのかは知らないけれど。
軽薄だと勘違いされてしまいそうな容姿と裏腹に、めちゃくちゃ真面目な堅物だな、という第一印象……というか推測を立てたことを、よく覚えている。チャランポン目隠しの私の同期とは大違いだなぁと思ったのだ。
警察学校を卒業した陣平くんと研二くん―――陣平くんを通して仲良くなった、もう一人の私の幼馴染みだ―――と、三人で飲みに行った時に、陣平くんが悪態をついていた。「降谷と諸伏の野郎、いきなり音信不通になりやがって。会ったらいっぺん殴ってやる」と、明らかにカタギではない形相でビールを仰ぐから、周りから少し怖がられていたのだ。研二くんと一緒に苦笑いした。
こりゃあ、もし再会したら降谷さんと諸伏さんは危ないなと半ば他人事のように、アルコールに浮かされ始めた頭でぼんやりと思った。幼馴染みの事とはいえ実際他人事であったし、正直な話、荒れている陣平くんにあまり口を突っ込みたくなかったのが本音だ。
でも"面白いもの"なんて、安室さんのご尊顔を見るに、どうやら陣平くんの鉄拳からは逃れることができたようだ。………いや、今はまだって可能性もあるか。
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やなり(プロフ) - jenniferwu3429さん» 原作は辛すぎますよね……。 (8月13日 18時) (レス) id: 38128c49d7 (このIDを非表示/違反報告)
jenniferwu3429(プロフ) - この作品を読む度に禅院姉妹のことを思い出すな (7月13日 3時) (レス) @page4 id: 426e07a7b9 (このIDを非表示/違反報告)
やなり(プロフ) - RIOさん» お返事遅くなってしまいすみません!コメントありがとうございます!こうしてコメントを、いただくと筆が乗ってしまう単純なわたし……(^-^; 少しづつにはなりますが更新していくので、お付き合いいただけるとうれしいですm(_ _)m (2022年5月28日 9時) (レス) id: 38128c49d7 (このIDを非表示/違反報告)
RIO - 早く続き読みたいです! (2022年5月24日 6時) (レス) @page11 id: 759836d8d0 (このIDを非表示/違反報告)
やなり(プロフ) - sou様、こ、光栄なお言葉をありがとうございます……!あらかじめ書き溜めた分はコツコツ更新していこうと思っています。完結まで私の妄想に付き合っていただけるとうれしいです(*´꒳`*)。ご期待に添えるように頑張りますね!! (2022年5月22日 9時) (レス) id: 38128c49d7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:やなり | 作成日時:2022年5月21日 16時